債務危機の「包括戦略」をまとめたユーロ圏。その翌日に予定されていたことで注目されていたイタリアの国債入札があった。2014年と2022年償還の2種類の発行条件だが、2014年ものは平均利回り4.93%。前回は4.68%だった。2022年ものは6.06%と6%を超えた。前回は5.86%で応札倍率は前回の1.37倍を下回る1.27倍だった。
ECBが継続してスペイン、イタリア国債を買い支えているが、一時は4%台に落ちていたイタリアの利回りは結局6%台に舞い戻ってしまっている。本日もECBの買いが入っているとの報道があったが、それでも条件は6%台となった。総額1兆8000億ユーロの負債を抱えるイタリアだが、日本円にすると約200兆円になる。現在日本国政府は、1%の金利で10年間借金をすることができるが(10年国債)、イタリアはその6倍のコストを払わなければならないということ。このままイタリアの借り換えコストが高止まりすると、900兆円の借金を抱える日本よりイタリアの方が年間の利払いの総額が多いなどということになる。ところがイタリアの経済規模(GDP)は日本の3分の1に過ぎないので、この金利負担はズシリと重いというわけだ。この金利水準を続けるには、結局、無理がある。
ところで昨27日はアジアから欧州、米国と株価の急反発が見られたが、市場に安心感をもたらしたものに、民間銀行が50%の減免を飲んだギリシャ債のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の扱いが、損失補てんの支払いが発生する条件にあたらないという国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA)の判断があったとされる。CDSとは債務不履行(デフォルト)に関連する「保険」。つまりデフォルトに当たらずという判断だが、CDSの受け手はホッと胸をなでおろすということだが、それもあって株は反発した。しかし、今後CDSを巡るイベントにかかわる発効条件に物議を醸すことになりそうだ。