亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

3月のインドの金輸入量160トン、完全復活か

2021年04月02日 21時19分53秒 | 金市場
本日のNY市場はイースターのGood Fridayで休場。しかし、3月の雇用統計の発表があることで、気持ちの上ではスタンバイという感じ。

31日水曜日に発表された3月のADP全米民間雇用調査では、前月の17万6000人から51万7000人増加と伸びが大幅に拡大した。市場予想(ロイター)は55万人の増加だった。ワクチンの接種が進む中、レジャー・接客業など幅広い業種で採用の動きが加速していた。しかし、昨日の週次の失業保険新規申請件数は、71万9000件と、前週から予想外の悪化となった。経済活動は持ち直しが伝えられ、再び70万件台に戻るとは予想されていなかった。ちなみに、前週の数字は65万8000件に修正されたが、この数字はリーマンショックで知られる国際金融危機時(2007~2009年)に記録した従来のピーク値66万5000件を、下回るもの。新規申請件数の通常値は20万~25万件とされるので、正常化には遠いと言える。

こうした中で、雇用統計の予想値は、失業率が6.0%と2月の6.2%からさらに低下し、非農業部門雇用者数は、65万人増と、2月の37万9000人増から伸びが拡大するとみられている。ただし、ワクチン普及の加速と1.9兆ドルの大型追加支援策(アメリカン・レスキュープラン)による正常化加速観測から、100万人増との予想もあり、上振れを読む声も多い。

ところで、一昨日の3月31日に、「金融的アプローチだけでは見えない金の価格動向」として、インドの若年層の人口が6億人にもなり、婚礼需要など実需に触れた。その際に2月のインドの金輸入量が91トンと前同月比で103%増、つまり倍増していることを書き漏らした。1700ドル割れや近辺でのアジア実需の増加に触れたが、まさに数字の上で証券される形だが、なんと今朝のニュースでロイターが伝えるところでは、3月のインドの輸入が160トンとなっていた。
 
一昨日の繰り返しになるが、インドは4、5月の春の婚礼期を迎えることから、2月の輸入増加はその手当とみられたが、3月はさらにそのピッチが上がっていることになる。

一方、2月の85トン減少に続き金ETF(上場投資信託)の世界全体の残高は、3月はさらに120トン程度減少したとみられる。ETFの売りの主体は欧米投資家となっていることから、構図としてはこうした現物由来の欧米の売りをインド1国で吸収したことになる。インドは昨年の春の婚礼期に新型コロナの感染拡大によるロックダウン(経済封鎖)で、結婚式は先送りされた経緯がある。秋の婚礼期に需要の戻りが伝えられたものの、春の先送りという観点からは驚くほどの規模ではなかった。しかし、足元の輸入統計が示すのは、ペントアップ・ディマンド(先送りされた需要)の予想以上の高まりということだろう。やはり下げが限定的になった、わけだ。
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