NY金は狭いレンジ取引に入っている。
3日はNY時間外のアジアからロンドン、さらにNYの時間帯を通し2660~2670ドルの狭い範囲のレンジ相場となった。やや動意付いたのはNY時間の午前中頃でフランスに加え韓国での政局の混乱が買い手掛かりとみられた。一時2678.40ドルまで買われ、この日の高値となった。
本日4日も同じような展開で、日本時間の21時30分までの時点で、ほぼ2660~70ドルの10ドルの範囲で、高値は2673.60ドルとなっている。
米大統領選挙後の乱高下状態を抜け、通常ペースに戻った金市場は、米金融政策と今後表面化する米新政権による実際の政策着手を予見させる見通しに注目した動きに移行しつつある。すでに指摘したように金市場は、新たなレンジ形成という時間帯に入っている。
トランプ次期米大統領が先週末30日に自身のSNSにてブラジルや中国、ロシアなど有力新興国からなる「BRICS」に対して共通通貨の創設など「脱ドル」の動きに対し制裁を加える方針を表明。要求に従わなければ、100%の高関税を課すとした。
唐突な印象のこの話だが、確かに「BRICS」の中でも中国、ロシアを中心に以前からこうした新通貨圏構想がある。
23年には新たに「BRICS」に加わる国も現れ「拡大BRICS」とのカテゴリーも生まれているが、対中国、インドなど主に貿易面でのメリットを重視してのものと思われ、新たな加盟国は通貨圏構想創設に対する意識は低いとみられる。
ただし、今回敢えてこうした形で警告を発したのは、むしろ米国サイドの危機感の表れと言える。
「BRICS」を中核とする新興国といえば、ドル(米国債)から金(ゴールド)への移行が話題だが、それゆえ米国の警告は新興国中銀の金購入に水を差すものとの指摘がこの先見られそうだ。
ゴールドへの移行はドルリスクの回避であって、新たな通貨圏をにらんでの準備となると、それは中国など限られた国と思われる。
ただし、金準備の増強は通貨制度全般の変革や移行に対し有効策であることは確かで、この先も新興国のゴールド購入は続くものと思われる。