金市場にも節目のイベントとなった米大統領選後の上下動を超え、さらにサンクスギビング越えでホリデーシーズン入り。いよいよ今年も詰まって来た。
今週の米国は月初のいわゆるイベント週。米国では求人件数(JOLTS)はじめ6日の11月雇用統計まで労働指標の発表が続く。特に雇用者数は10月に前月比1万2000人増まで縮小したことから注目度は高い。
10月分はハリケーンや航空機大手ボーイング社のストライキなどの影響で伸び悩んだもので、11月分は反動もあり急増が予想されている。ただし求人件数の減少や人員削減計画など基調的な労働市場の減速を示唆する動きもあり、総合的に判断する必要がありそうだ。
今週は12月17~18日の連邦公開市場委員会(FOMC)を前に7日以降発言を控えるブラックアウト入りを前にFRB高官の発言機会が連日予定されている。
注目は本日 2日(月)のウォラーFRB理事の講演、4日(水)の討論会に参加予定のパウエル議長の発言となる。他にもこれまでの発言内容の市場への影響度から、ウィリアムズ・ニューヨーク地区連銀総裁、デイリー・サンフランシスコ地区連銀総裁、ボウマンFRB理事の発言にも注目している。ちなみにボウマンFRB理事は9月の0.5%利下げ時に反対票を投じたことで知られる。
先週のNY金は、結局週初25日の1日の下げ率としては前週末比93.70ドル、3.16%安と1日としては21年6月17日の4.65%以来の下げを埋められずに終了。週足は16.20ドル、1.15%の安の2681.00ドルで終了。
この価格はNYコメックスが28日に限月交代があり、取引の中心となる限月(active month)が12月物から25年2月物に移行した関係で2カ月分の金利相当分のプレミアムが価格に乗っている。現状では言わば「下駄ばき」の価格と言える。
先週末はドル円相場に動きがあり、国内金価格へは下押し圧力が高まった。
伝えられるように29日午前に発表された11月の東京都区部消費者物価指数(CPI)の予想比上振れを受け、一時6週間ぶりの149円台の円高につながった。日銀による12月利上げ観測が高まり週末にかけてドル円相場の下落(円高)が徐々に進んでいたが、日銀は以前からデータ次第(植田日銀総裁)を標榜しているだけに、今回のCPIには市場の注目度も上がっていた。
その後日本時間30日未明に日本経済新聞電子版が植田日銀総裁がインタビューにて一段の円安はリスクが大きいと指摘し、場合によっては政策変更で対応しないといけなくなるとの見解を示した旨を報じ、29日NY時間にドル円相場は一時10月21日以来の安値となる149.47円まで下落(円高)し149.75円で終了。
このドル円の急落(円急騰)は確かに日本発のものだが、一方で米長期金利が連休の狭間の29日の半日立ち合い(取引)で、つまり薄商いで1カ月半ぶりの水準(4.175%)に急落したこともある。
この長期金利の急落にドル指数(DXY)も105ポイント台半ばまで下落。前週末は一時2年ぶりの高値108ポイント超まで買われていた。
しかし、その割にNY金の動きは鈍かったので、地合いの悪さを感じさせた。
NY金は調整局面、レンジの下限探しの動き。それに伴いJPX金も国内小売価格も下値模索か。