亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

「決裂シナリオ」に至るも市場の反応は限定的

2019年05月14日 23時42分10秒 | 金市場
米東部時間13日の早朝の時間帯に、トランプ大統領は「中国側は報復すべきではない。さもなくば、状況は悪くなるだけだ」とツイート。もちろんそんなことを中国側は気にするはずはなく、その約1時間半後の午前の早い時間に、米国からの600憶ドルの輸入品に対する追加関税を最大25%に引き上げる方針を発表。輸入品5140品目を対象とし、6月1日から適用するとした。昨年9月に米国への報復措置として5~10%の関税の上乗せをしたが、今回それを5~25%に引き上げる。

25%の追加関税対象は2493品目あり、その中には液化天然ガスや大豆、石油化学製品、化粧品などが含まれる。その他の1078品目は20%となっている。すでにアイオワ州など米国の農業部門へは大豆の値下がりなどで影響が出ているが、2016年の大統領選時のトランプ大統領の支持基盤の一つでもあったところ。もちろん中国側はそうした点も考慮していると思われる。

この中国側の報復措置に対し、すでに意向を表明していた中国からの輸入品約3250億ドル分への追加関税の付加が正式に決定されたのは、日本時間本日早朝だった。報じられているように対象は3805品目で、アップルの「iPhone」などスマートフォンが432億ドルと最大項目でノートパソコンなどが続くとされる。これらは追加関税を課されることになった。衣類など消費財も幅広くカバーし、関税の範囲が広がることになった。発動日は発表されなかったが6月末とされる、場合によっては7月あるいは8月にズレ込む可能性があるとされる。トランプ大統領は、日本で開かれるG20に際して、中国の習近平主席との首脳会談を望んでおり、その際の材料となりそうだ。また約3250億ドルも追加関税の対象としたことで、原則として中国からの輸入品すべてに課税されることになった。市場では、「決裂シナリオ」と指摘されるものだが、市場の反応は意外にも静かなものとなっている。

急落となった13日の米国株式だったが、14日のアジアは下げこそすれ下げは限定的だった。世界同時株安ではあるが、これまでのところ市場は冷静な反応を示している。金市場は、日本時間の14日23時時点で4ドル安程度の1290ドル台で推移中。



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2 コメント

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大豆の事 (ささやか)
2019-05-15 05:56:08
最近、納豆の原料大豆が米国カナダの丸大豆になっている事に気付いた。あと激安豆乳の原料大豆には米国産や中国産丸大豆も使われているんです。中国人は凄い!と改めて思いました。スーパーのバーゲンで納豆をかごに入れる人は子供の頃から食べている納豆原料大豆が外国産になっている事に気付いているのでしょうか?米中貿易戦争のお陰でブラジルなど大豆を作る国が増えたから、昔のように大豆戦争が起きても大丈夫と思えないです。日本の農業が自国の食料も賄えない事態は怖い、と改めて思った。
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遺伝子組み換え (KAMEI)
2019-05-16 21:46:46
遺伝子組み換え大豆を避けるために、国内産を買っています。いまや習慣化していますが、気が付いたら国内産も遺伝子組み換えになっていたりするかもしれませんね。
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