亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ステージは変わる(スタグフレーション阻止のFRB)

2020年09月02日 20時03分24秒 | 金融市場の話題
昨日は、予定されていたブレイナードFRB理事の講演について、「おそらく、今回の政策方針の変更についてさらなる情報を提供するものと思われる」とした。結果は、そうなったと言える。パウエル(議長)⇒クラリダ(副議長)⇒ブレイナード(理事)と、進むうちに流れはより鮮明になってきた。目標とするミッション(FRBの指名)に対するアプローチの仕方について、判断基準を大きく変えることと、従来の手法の過ちを認めるということも昨夜のブレイナード発言には含まれていた。

パウエル議長は、低インフレ期間を相殺するため、インフレ率が2%を超える期間を容認し、インフレ率が長期的に平均2%となるよう目指すとしたが、これは以前からされている議論。
シンメトリー(symmetry、左右対称)という言葉を用いて、2%の物価目標の達成について、ゾーンでとらえ平均して2%を達成するというもので、イエレン前議長の時代から議論されていたと記憶している。古い話ではなく3年ほど前か。この考え方をすれば、2%以下の時間帯が長くなれば、当然2%を一定期間超えることも受け入れ、その期間も長くなる。

これまでFRBは、失業率が低下トレンドを示すと、やがてインフレ率の上昇につながり、金融の安定に対するプレッシャーになるとして、先手を打って利上げを行ってきた。31日にクラリダ副議長は、「採用してきた失業率の低下がインフレ率の上昇につながるとの経済モデルは、過去も含めて間違っている可能性があり、1つの計量経済モデルに基づく金融引き締めを正当化することは困難」と回りくどい言い方をした。

それに対し昨夜のブレイナード理事は、いままでの対応(利上げに伴う判断)は、「多くの国民に対する不当な機会損失」につながったとした。そして今回採用しようとしている政策アプローチが既に取られていたとするならば、「より大きな恩恵が得られたはずだ」とした。やはり2015年から2018年とりわけ2018年の利上げについて、政策当事者として誤りを率直に認めた稀な例と思われる。しかし、今後はもっとうまく立ち回れるはずだと。そのために発表した新戦略の実現を図るために、「向こう数カ月」に新たな追加緩和策を打ち出す必要があるとしている。

その上で、債券買い取りとフォワードガイダンス(先行きの政策方針)が「引き続き政策対応の柱になる」とし、「まだまだ方策はあるし、声明ではありとあらゆる手段を駆使すると堅く約束している」としている。市場では、「向こう数カ月」に反応し、大統領選後か?との見方も出ている。

ところで、ブレイナード理事の発言内容はその通りだったが、「ドルは売られるのでは、ないか」と書いたが、確かに売られその際にNY金は2000ドルを超えたが、その後、ドルは反転し上げ幅をすべて失って終了、いわゆる行って来い状態となった。今夜はADP全米民間雇用データがどうなるか。。。

それにしても足元のストレッチ状態の株高の中で、さらなる積極策を公言するFRBだが、日銀とは別の面で、出口をどうするかが進むほどに難しくなりそうだ。これも、財政同様今は有事につきその議論は目をつむってということか。しかし、つむってばかり、おれんぞ!ディスインフレ阻止、日本化阻止、スタグフレーション阻止のFRB。

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