亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

対外純資産22年連続でトップ

2013年05月29日 00時00分16秒 | 金融市場の話題
連休明けのNY市場。先週のバーナンキ議長の議会証言やその他FRB内部関係者の発言内容から考えて、雇用を中心に米国マクロの改善は、今まで以上に金の下げにつながりやすくなったと思われる。そもそも先週も取りあげたようにFRB自体でも米国景気の評価について意見が分かれており判断がつかない状況と見られる。

本日は米民間調査機関のコンファレンス・ボードが発表する消費者信頼感指数。5月は76.2
と、前月の69から上昇した。かなりの改善。市場予想は71.2となっていた。さらにもう一つは、住宅価格の動向。全米20都市を対象にしたスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)/ケース・シラー住宅価格指数の3月のデータが発表された。こちらは前年同月比で10.9%の上昇と
7年ぶりの上昇率となった。実需以外にも投機的な観点からの資金も入っていると見られる。明るさが出てきているのは事実。

さらに注目は、昨年末時点での日本の対外純資産が大きく伸びたというニュース。新著でも取り上げたのだが、ここまで日本は21年間連続で対外純資産の額でトップを維持してきたが、22年連続になったというニュース。前年比で30兆8900億円の増加し過去最高の296兆3200億円となった。年末に掛けて一気に円安が進んだことも円ベースでの資産総額が増えた背景のひとつと見られる。対外資産残高は661兆9000億円で負債は365兆5900億円。差引で296兆円というわけだ。

2位は中国。香港を含むが213兆6600億円となった。昨年よりも日本との差は小さくなってきている。3位はドイツで121兆9000億円となった。

これだけの対外純資産を抱え、それらが生み出す利息や配当収入が所得収支として貿易赤字をカバーして年間ベースでの経常収支の黒字を維持している状況だ。思うにこういった国だからこそ、中央銀行がマネーの供給を2年間で140兆円も増やすと宣言しても103円程度までしか円安が進んでいないということ。普通の国ならばとっくに120円くらいにはなっているのではないか。

失われた20年などと表現されるが、この間に保有資産でトップになり、それを維持しているのは皮肉だ。純資産はこれまでの長年の黒字を積み重ねたもの。

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