29日のNY株式市場は、NYダウが一時180ドル近く売られるなど荒れた展開となった。このところ米国の景気関連の指標に好調さを示すものが増えたことから、FRBによる緩和策の縮小観測が株式市場に広がり始めている。それを映す形で米国債相場の値動きが荒くなっており、売りが先行し長期金利が上昇傾向を強めていることも株式市場には気掛かりな材料といえる。
実際に29日の米国10年債は時間外のアジアの時間帯に売りが広がり利回りは一時2.23%まで上昇。この水準は2012年4月上旬以来、約1年1ヵ月ぶりのもの。今月初めには1.6%台前半に位置していたので一般にはピンとこない話なのだが2.2%台乗せは債券価格の急落、金利の急騰といって過言ではない。日本国内でも10年国債の乱高下が懸念事項になっているが、同様のことが米国でも起きているわけだ。前代未聞のばらまき策の行方は、「海図のない航海」ゆえに、今後市場の値動きが荒くなると予期せぬ混乱に身構える投資家も増えると見られる。出口の難しさについて何度も書いたり、しゃべってきたが、その一端がチラチラしている感じだ。
現時点では米長期金利の上昇も一過性と見られているため、混乱が広がることはないと思われる。そもそもFRBが(毎月450億ドル)長期国債を買い進めているのは金利を低位に安定させるためであって、それが上がることは景気回復の前提が変わることになる。回復見通しが高まると(資金需要が増し)金利が上がるのは道理ではあるが、早すぎる市場の反応で上がってしまうのは困るわけだ。いずれにしても市場は都合のいいようには動いてはくれないということ。これからの日本にも同じことが言える。こうした部分に金保有の意味があるわけだ。
今日の日経平均はまた午後になって先物主導で売られ結局737円安。制空権を海外勢に握られていることからその売りは下げに直結するということか。皆が4月に言っていたsell in May がやってきたということか。このところの“期待の星” といえる日本株は、新興国株に比べはるかに流動性に富むため受け皿になってきた。それだけに注目度も高く他市場に連鎖しやすい。午後にドル建て金に買い物が入ったのは、やはり月末接近でショートの手仕舞いをしたいところにこうした荒れた展開に付き、買戻し(カバー)したということだろう。
新刊本、明日発売です。1500円+消費税。
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現時点では米長期金利の上昇も一過性と見られているため、混乱が広がることはないと思われる。そもそもFRBが(毎月450億ドル)長期国債を買い進めているのは金利を低位に安定させるためであって、それが上がることは景気回復の前提が変わることになる。回復見通しが高まると(資金需要が増し)金利が上がるのは道理ではあるが、早すぎる市場の反応で上がってしまうのは困るわけだ。いずれにしても市場は都合のいいようには動いてはくれないということ。これからの日本にも同じことが言える。こうした部分に金保有の意味があるわけだ。
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