想定外といっていいと思うが米国経済の好調さを示すデータが続いている。
先週は一服気味だった米長期金利が、前日に続きさらに上昇。あわせて午前を中心にドルも主要通貨に対し強含みに推移する中で、NY金は堅調な米経済指標を受け上下した後に、下値を探る流れに転じた。6日のNY金の通常取引は前日比8.40ドル安の1944.20ドルで終了。
米長期金利とドルを押し上げたのは、朝方に米ISM(供給管理協会)が発表した8月の非製造業(サービス業)総合景況指数だった。 前月比で予想外に1.8ポイント上昇の54.5と2月以来6カ月ぶりの高水準となった。前月の52.7から52.5への低下が予想されていた。新規受注が同じく6カ月ぶりの高い水準となったほか、雇用指数は2021年11月以来の高水準を記録した。仕入価格指数も4カ月ぶりの水準に上昇した。
米連邦準備理事会(FRB)は7月に追加利上げを実施し、政策金利は5.25~5.50%になっているが米国経済はFRBが長期にわたって金利を高水準に維持するのに十分な回復力を維持しているとの見方が台頭。指標となる米10年債利回りは、一時4.308%まで上昇した。
ただし、午後になりFRBが発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)にて大半の地区で物価上昇が総じて減速しているとしたこともあり、終盤は低下し4.284%で終了した。 一方ドル指数(DXY)は、米長期金利の動きに連動する形で一時105.024と3月以来6カ月ぶりの高値を付けたものの、午後には上げ幅を削って前日終値水準に近い104.861で取引を終了した。
今月開催される連邦公開市場委員会(FOMC)にて話し合いの基礎資料となるベージュブックだが、「大半の地区の調査先が、経済成長は緩慢だったと指摘した」と記している。さらに各地区の報告では賃上げ圧力が2023年後半にかけ和らぐとの見方が目立った。また同様に雇用の伸びが鈍化しつつあるという報告も目立った。高金利の影響が住宅市場に及んでいるとの報告も見られている。ちなみにこの日、NY株式市場では住宅関連株が大きく下落し注目された。
市場へのインパクトという点では、午前に発表されたISM非製造業景況指数がベージュブックを上回った。
なおプラチナの国際調査機関、ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)が6日、23年4~6月期の世界のプラチナ需給レポートを発表。
総需要量は217万1000オンス(約68トン)と、前年同期比31%増としている。プラチナ需要全体の約4割を占める自動車向け排ガス浄化触媒需要が前年同期比19%増(84万オンス、約26トン)と全体を押し上げた。半導体不足が緩和し自動車生産が回復していること。またパラジウムからプラチナへの触媒需要の移行も増加の背景として指摘されている。
なお主要生産国南アフリカでの不安定な電力供給などから、年次ベースで大幅な減少が懸念されている鉱山からの供給だが、147万8000オンス(約46トン)と前年同期比3%減にとどまっていた。
6日のNYプラチナは3営業日続落の915.30ドルで終了した。一方、NYパラジウムの終値は1210.50ドルと、終値(清算値)ベースで2019年1月3日(1200.30ドル)以来4年8カ月ぶりの安値で終了した。