亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

「地政学」ならぬ「地経学」リスク

2019年06月10日 22時41分58秒 | 金市場
北朝鮮に中東情勢はたまた米中協議にBrexit論議など地政学リスクが世界を覆っているが、「地経学リスク」という言葉もある。5月の金関連のセミナーで取り上げたのだが、地政学上の目的を達するために、経済的な手段を行使することをさす。早い話が、ここかしこで“喧嘩を売っている”トランプ流のディールだが、その際に制裁関税を持ち出したり、ドル決済をやらせない(経済制裁)としたり、相手に条件を飲ませるために、覇権国としての優位性や経済の基礎体力に勝ることを武器にしての働きかけがそれ。覇権国である米国は多くの武器を有している。最強の武器は通貨ドルだろう。ドルを介さない貿易など取引は、手間がかかりコストもかかる。いろいろな試みはあれ、なかなか定着しない。


今回の対メキシコ関税も地経学的な働きかけのひとつ。制裁関税を振りかざし、移民の規制強化を迫った。しかし、土壇場で回避されることになった。もともと2020年の大統領選挙に向けたトランプ流のアピールという側面を感じさせたが、あっさり撤回されることになった。メキシコ側が対応策を講じることになったとされるが、実際には目新しい対応策をメキシコが講じるわけではないとされる。単に、自らの旗色が悪いことに気づき、これはマズイとばかりに撤回したということのようだ。

ただし予想されていたが、本日の市場はこれを好感し、上海など中国株を含めアジア市場から株高となった。金市場は、前週以降ファンドが買いついていたことから、8連騰ということも手伝い売られることになった。ただし、想定内の値動きといえる。


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