亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

陰の極、閑散に売りナシ

2012年08月10日 11時38分19秒 | 金市場
今週に入りNYコメックスの金価格は狭いレンジながら堅調に推移している。8月9日は前日比4.2ドル高の1620.20ドルで終了した(フロア取引)。

市場の状況を表す言葉に「閑散に売りナシ」というものがある。今週は、まさにそうした状況が続いている。週初からNYコメックスの出来高も10万枚割れが続いているが、9日の取引は更に細り8万枚に達しなかったと見られる。年初来最低で、先日も書いたが2010年12月以来の低水準となる。この市場環境の中で引き続きFRB、ECBの緩和策期待が根強く、9日は1621.00ドルまで見た。

9日の取引では、中国関連の指数が注目された。NY時間外のアジアの時間帯に発表された中国の7月のCPI(消費者物価指数)は、+1.8%と30ヵ月ぶりの低水準となった。前月は+2.2%、1年前は+6.5%と3年ぶりの高水準となっていたので、ここに来ての急低下は逆の意味で不気味といえる。仮に物価上昇すなわちインフレ率を“景気の体温”とするなら、体温が一気に下がる状況は、体が異常を来している、あるいは来す兆候を示しているという捉え方もできよう。

この視点で中国の他の指数を見ると、7月のPPI(生産者物価指数)は-2.9%と5ヵ月連続の低下で単月としては09年10月以来の大幅な落ち込みとなり、こちらも“冷えている”。9日は同じく7月の鉱工業生産指数も発表され、こちらは市場予想+9.8%に対し+9.2%にとどまった。小売売上高もまたしかり予想+13.7%に対し+13.1%となった。

これに対し市場の反応は、中国政府は更なる利下げなど景気刺激策を取るだろうというもの。この中国の“冷え”を示すデータに商品市場がむしろ上昇で反応したのは、こうした緩和期待がある。底流に緩和期待が渦巻く市場環境の下で、まさに閑散に売りナシ。しかし、こうした煮詰まった状態の後に次の動きが始まるのも、相場の経験則といえる。

この週末から夏休みという人も多かろう。静かなうちに皆さんいい夏休みを!

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2 コメント

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Unknown (fairlane)
2012-08-10 12:33:06
5年くらい前までの金相場は、この時期というより、8月いっぱい海外ディーラーが夏休みを取って、ヨコヨコの閑散相場でしたよね。みんな人生エンジョイしないでどうする!という感じの相場。で9月から大きく動くのが常でしたよね。
いつだったか8月で大きく動いてブラックベリーで皆呼び出され、盆も無い相場になってここ数年。さすがにディーラー間で談合したんじゃないかと予想します。
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お願い (たきがみ博士)
2012-08-12 10:29:32
ブログ、セミナーを拝聴しています。8月25日のセミナーに参加します。
つきましては、「底流に緩和期待が渦巻く市場環境の下で、まさに閑散に売りナシ。しかし、こうした煮詰まった状態の後に次の動きが始まるのも、相場の経験則といえる。」のメッセージ・肌感覚を、噛み砕いて教示ください。
よろしくお願いします。

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