亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

金は反発1700ドル台回復、株価高値更新の中でFOMC開催

2020年06月09日 12時48分10秒 | 金市場
週明け6月8日のNY市場の金価格は反発となった。予想外の改善方向を示した5月の米雇用統計の結果と、その後の株式市場の大幅高に代表されるリスクオン・センチメントの広がりの中で、1700ドル割れに売り込まれた金。引き続き株式市場に資金が集まる中にもかかわらず、自律的な反発をみせることになった。NYコメックスの通常取引は、前日比22.10ドル高の1705.10ドルで終了となった。この日の貴金属は全般的に買われ、プラチナは30.80ドル高の861.20ドルで終了となった。

主要な経済指標の発表のない中で、金市場はアジア時間から買い優勢の流れが続いた。戻り過程の1700ドル手前の水準では売り買い交錯状態となり、一定の売りをこなしたうえでロンドンの中盤、NYの早朝に1700ドル台に復帰。NYの通常取引入り後に再び1690ドル方向に押し戻されたものの、終盤に向けて買い戻され1700ドル超で取引を終了した。

この日も米国株式市場は快調に値を飛ばした。ナスダック総合株指数は、終値で2月19日に記録していた過去最高値を更新。NYダウもS&P500種も急伸し、S&Pは年初来でプラスに転じている。株価の上昇については持続可能性について警戒感は強い。過去の危機下での株価の回復ピッチと比較し、今回の戻りの速さに対し期待先行の金融相場(カネ余り相場)との指摘が多くみられる。

確かに米連邦準備理事会(FRB)は先週6月3日までの3カ月間に3兆9237億ドル(約320兆円)もの資金供給を実施し、多くは3月から4月に集中した。資産買い入れの結果、米国債価格は上昇し利回りは歴史的水準に低下。指標となる米10年債利回りは、現時点で0.8%台と1%割れにある。運用難に見舞われている年金基金など長期投資家も、利回りを求め配当利回りに目を付け、株式市場に資金を投じている。実体経済(メインストリート)の状況からかい離する資産価格の上昇(株価の上昇)は、こうした環境で起きるいわば副作用とするならば、経済の底割れを防ぐためにFRBはあえて目をつむったと思われる。一方で過熱が目に余るならば放置もできない。

こうしたタイミングで本日から2日間の日程で連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。先週末の雇用統計の結果を受け、どのような現況認識と見通しを示すのか。センチメントを冷やす株価急落は起こせないだけに、難しいかじ取りが続く。パウエルFRB議長は、ここまで盛んに政策に限りはなく追加緩和が可能と発言してきている。恐慌入り阻止に主眼を置いてきたが、当面はここまでの政策の効果を見極めるという流れか。

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