亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

株式市場も意識する?ウクライナ情勢

2022年01月25日 20時50分08秒 | 国際情勢

週明けの米国株式市場は前週までの大幅下落の流れを継続する形で続落でスタートした後、主要指数は軒並み2%から3%以上売り込まれたが、終盤に急速に値を戻し、ともにプラス圏で取引を終了する値動きの激しい1日となった。

午前を中心にした売り手掛かりはウクライナ情勢とされる。前週末まで、中東UAEに対するイエメン拠点のフーシ派によるドローンを使った石油施設への攻撃が原油価格を通して株など金融市場に影響するというのが、株式市場での地政学リスクへの関心ではなかったかと思う。この日は、ウクライナ情勢の緊迫化が株の売り要因になったと欧米メディアは伝えたが、疑問。

確かにウクライナ情勢は、地理的に離れた日本より遥かに欧州では危機感が高まっているのは事実だろう。また外交でロシアと対峙している米国も、中間選挙を秋に控えるバイデン政権にとって国内向けのメッセージ性もあり緊張感高めた状態で事に当たっているだろう。政権発足1周年のスピーチで、バイデン大統領自身が対ロ対応の発言で味噌を付けたこともある。

24日は北大西洋条約機構(NATO)が、欧州東部への戦艦や戦闘機の配備を強化し、南東部にも追加部隊を派遣する姿勢を表明するなど、確かに緊張は高まった。もちろんロシアはこの動きに激しく反発。米国務省は、前日にロシアが軍事行動を取る恐れがあるとして、在ウクライナ大使館職員の家族に出国を命じていた。同時に米国政府職員の自主的な出国を認めたほか、米国民も直ちに国外退避を検討すべきとした。24日は一部報道によると米国政府は欧州西部に配備している兵士の一部を向こう数週間で段階的に東部に移動させることを検討していると伝えられた。

一方で、米国防総省は必要に応じて極めて短時間で欧州に派遣できるよう、米軍約8500人を派兵待機としたと発表している。足元でロシアはこのニュースに反応。緊張を煽っているには、むしろNATOと米国としている。確かに米国内からの派兵準備を整えるというのは、穏やかではない。米軍として戦うのでなくNATO軍(多国籍連合軍)の一員という建前で、抑止を期待した脅しという解釈もできるが、国内世論の関心を外に向けるということだろう。ウクライナはNATOに加盟していないことから、東欧の加盟国に兵を実際に送り込むことでロシアにプレッシャーを掛けるということか。しかし、それでは現実にロシアがウクライナに入った際に、どう手を出すのか不明。

ここまでのところ2014年のクリミア侵攻は、国際法違反でも、既成事実を作ってしまい居座れば、事実上手は出せないことは現状が物語っている。南シナ海南沙諸島における中国のやり方もまた同じ。竹島における韓国にも言えること。こうした手法が繰り返されているうちに、どこかで戦端が開く可能性は否定できない。

北京の冬季オリンピックが始まるが、プーチンは開会式に出席のはずと思うが、開催中は少なくとも軍事行動はないのだろうか。振り上げた拳を双方がどう下ろすのか。軍事的衝突に対する金市場の反応は一過性に終わるのが経験則ではある。

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