亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

米中冷戦2019  

2021年03月19日 23時44分33秒 | 国際情勢
アンカレッジでの米中高官による会談は、報道陣の前で異例の非難合戦の様相を示し、溝の深さを世界中に印象付けることになったようだ。今から4年前に米中冷戦時代に入ったと見られたが、それは間違いではなかった。(デタント)東西融和の象徴となった1989年の「ベルリンンの壁の崩壊」から30年経過後に、米中貿易摩擦が勃発し、それがやがて関税賦課の応酬という貿易戦争レベルまで高まり、今回、話し合いのテーブルに着くことさえ難しい状況になっていることが明らかになった。今夜、ニュース番組で双方の発言映像を見たが、2日間の日程の2日目はないだろうと思わせるものだった。南シナ海の埋め立て、そして軍事基地化などの経緯を見ていても、中国は何だかんだ自国に都合のいい理屈をつけて既成事実を作り上げ、まわりがどんなに避難しようと引かず、時間の流れの中で認めさせようとの行動を取る国と思われる。それはクリミアを実質的に割譲したプーチンのやり方に通じるもの。米中国家間の狭間で、双方でビジネスを展開している企業は、今後どのようにするのか立ち居振る舞いの在り方を再考する必要が求められるだろう。

市場参加者は、今後、何らかの地政学リスクを意識せざるを得ない状況に遭遇するだろうし、備える必要があると思われる。

さて昨日は、23年年末までゼロ金利政策の継続を表明したFOMCを受け、米長期金利は沈静化するかに見えたが、ここでも取り上げたように18日のロンドン時間ににわかに米債市場が動意付き、10年債利回りは1.7%を突破すると、そのままじわじわと1.75%にタッチするところまで相場は低下した(利回りは上昇)。しばらくは債券相場も落ち着くかに見えたが、むしろ政策当局の金利水準に対するスタンスを見極めようとするかの投機的な動きが現れたと思う。パウエル議長にしても、無秩序な市場の動きには対抗するものと思われ、今回のFOMCに際しては、資産買取りについて「少なくとも」毎月国債800憶ドル、MBS400憶ドルの買取り(市場への資金供給)をするとしており、必要とあらば臨機応変に増やすこともあり得るとのスタンスと思われる。

本日は、アジアからロンドンの時間帯は落ち着いた動きとなった長期金利が、NY時間にどう動くかが見ものとなりそうだ。先行きの回復やインフレを織り込みに掛かっているとされるが、一連の流れの中で行き過ぎが生まれているものと思われ、早晩一巡するのではないかと思っている。

なお、一昨日、ロシアの生産大手ノリリスク・ニッケルの生産障害から減産見通しが伝えられ急騰したパラジウム。前日こそ比較的小幅な値動きだったが、18日は再び大きく水準を切り上げた。パラジウムの先物価格は前日比124.50ドル高の2662.80ドルと昨年2月27日以来の高値水準で取引を終了。一時、2749.00ドルまで買われるなど、市場規模の小さいこともあり値動きは荒くなっている。以前から、ロシア情報で動くパラジウムに、あまり興味はわかない。恣意性を感じるからだ。

本日は、先週から始めたポッドキャスト、あるいはSpotifyの音声データを更新している。状況をみて予定より頻度をあげようと思っている。「亀井幸一郎のゴールド・ボイス」で検索あれ。。。

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