1、TPP推進をめぐる本当の話
米国アトランタでの「大筋合意」の真相~日本は米国の草刈り場
TPP(環太平洋連携協定)が合意したとされたアトランタ会合で、日本は、決着することを目的化し、合意のためには何でもする「草刈り場」と化して、他の国が「よくそこまで譲れるね」というほどに譲歩を一手に引き受けた(注)。他の国が、医薬品の特許の保護期間などで最後までもめたら、どちらともとれる表現を提案し、火種を残したままでも、とにかく合意した形を作ろうとした。現に、豪州政府は「5年間のデータ保護期間は一切変更しない」と発表し、米国が反発している(JC総研木下寛之顧問による)。
日本政府は、自動車での利益確保に、ハワイ会合を決裂させるほどにこだわった(ハワイ会合決裂の「戦犯」は日本だと海外メディアは報道し、日本メディアの報道を著しく乖離)のに、アトランタでは、それさえ差し出した。TPP域内での部品調達が55%以上でないとTPPの関税撤廃の対象とならないとする厳しい原産地規則を受け入れたが、TPP域外の中国やタイなどでの部品調達が多い日本車はこの条件のクリアが難しい。また、米国の普通自動車の2.5%の関税は15年後から削減を開始して25年後に撤廃、大型車の25%の関税は、報道規制がなされたが、29年間現状のままで、30年後に撤廃するという気の遠くなるような内容である。農産物についても日本だけ7年後の再交渉=更なる削減も屈辱的に約束させられている。さらに、今回の合意は関税撤廃への過程であり、最終目標は全面的関税撤廃だと協定に書かれている。まさに、TPPが「生きている協定」と言われる所以である。
(注) アトランタに駆け付けていた山田正彦元農水大臣やアジア太平洋センターの内田聖子さんが現地情報として紹介している。また、筆者も出演した2014年5月1日NHK BS1の「WISDOM」で「TPP 世界はどう見る」で米国市民団体Public CitizenのLori Wallachさんが、すでにそう言っていた。また、同番組で、米国大学教授の「TPPに参加せずに日本はGDPで1%の農林水産業のために99%を犠牲にするのか」との発言に対するWallachさんの「命と環境を守る農業を狭い視野の経済で論じてはいけない。たとえ1%だとしても、それが消費者100%を支えている」との反論は的を射ていた。
米国アトランタでの「大筋合意」の真相~日本は米国の草刈り場
TPP(環太平洋連携協定)が合意したとされたアトランタ会合で、日本は、決着することを目的化し、合意のためには何でもする「草刈り場」と化して、他の国が「よくそこまで譲れるね」というほどに譲歩を一手に引き受けた(注)。他の国が、医薬品の特許の保護期間などで最後までもめたら、どちらともとれる表現を提案し、火種を残したままでも、とにかく合意した形を作ろうとした。現に、豪州政府は「5年間のデータ保護期間は一切変更しない」と発表し、米国が反発している(JC総研木下寛之顧問による)。
日本政府は、自動車での利益確保に、ハワイ会合を決裂させるほどにこだわった(ハワイ会合決裂の「戦犯」は日本だと海外メディアは報道し、日本メディアの報道を著しく乖離)のに、アトランタでは、それさえ差し出した。TPP域内での部品調達が55%以上でないとTPPの関税撤廃の対象とならないとする厳しい原産地規則を受け入れたが、TPP域外の中国やタイなどでの部品調達が多い日本車はこの条件のクリアが難しい。また、米国の普通自動車の2.5%の関税は15年後から削減を開始して25年後に撤廃、大型車の25%の関税は、報道規制がなされたが、29年間現状のままで、30年後に撤廃するという気の遠くなるような内容である。農産物についても日本だけ7年後の再交渉=更なる削減も屈辱的に約束させられている。さらに、今回の合意は関税撤廃への過程であり、最終目標は全面的関税撤廃だと協定に書かれている。まさに、TPPが「生きている協定」と言われる所以である。
(注) アトランタに駆け付けていた山田正彦元農水大臣やアジア太平洋センターの内田聖子さんが現地情報として紹介している。また、筆者も出演した2014年5月1日NHK BS1の「WISDOM」で「TPP 世界はどう見る」で米国市民団体Public CitizenのLori Wallachさんが、すでにそう言っていた。また、同番組で、米国大学教授の「TPPに参加せずに日本はGDPで1%の農林水産業のために99%を犠牲にするのか」との発言に対するWallachさんの「命と環境を守る農業を狭い視野の経済で論じてはいけない。たとえ1%だとしても、それが消費者100%を支えている」との反論は的を射ていた。