こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

私たちはチェルノブイリの教訓を引き継げるのだろうか

2016-04-26 19:18:49 | 政策・訴え・声
 

 


今から30年前の1986年4月26日、チェルノブイリ原子力発電所でレベル7の深刻な事故が起きた。原発から30キロ圏内の11万6千人が故郷を失った。それから25年後の日本の福島原発が同様にレベル7の過酷事故を起こし12万人が避難生活を続けている。私たちは、チェルノブイリの教訓を生かしているといえるのだろうか。24日、日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)が主催して、10日前にベラルーシから帰国したばかりの鎌田實理事長のお話を聞く会が開かれた。鎌田さんの話からチェルノブイリが私たちに伝えようとしていることを考えてみました。
■30年たっても人間が住めないチェルノブイリで
チェルノブイリ原発は、放射能漏れを防ぐために石棺に覆われていますが、その石棺が30年の歳月の中で風化が始まっています。今は、その上にシェルターを被せる工事が続けられているのです。原子力発電所の事故によって、放出された「物質」は30年たっても放射線を出し続けるのです。
セシウム137の半減期はちょうど30年です。放射性物質はα線やガンマ線、中性子線を出し続け30年たってようやく半分になります。そして、さらに30年で4分の1になります。90年後にようやく8分の1になるということですから、結局人間は一生放射能と付き合うことになります。
この放射性物質が発する放射線は人体へ多大な影響を与えます。被曝量が大きければ細胞が死んでしまったり、組織の機能が奪われ、やけど・嘔吐・脱毛・著しい場合には死などの急性障害があらわれます。低線量でも人間の身体を結合している分子を数10万ボルトの力で切断し、ガンをはじめとした放射線障害をもたらします。
ですからチェルノブイリでは、年間5ミリシーベルト以上は強制避難、1~5ミリシーベルトは、住むか住まないか自分で選択しています。鎌田理事長は、事故後いったんは町に住んでいたが故郷に戻って暮らしているお年寄りに聞きました。「なぜ戻ってきたのか」と聞くと「私が若いころから住んでいた故郷だから」と答えます。「一人で寂しくないか」と聞くと、「寂しい」と答えます。故郷を失わせ、寂しさのなかで生きる老婆、原発事故がなければと思わざるを得ません。
ベラルーシは、この30年間、子どもたちに1回24日間の保養を年2回行ってきました。内部被曝しないように安全な食材を運び続けてきました。健康診断も18才未満は2年に1回、18才以上は5年に1回続けてきました。検診を行い異常が見つかれば適切な治療を施すことで95%の子どもの命が救われた事実があります。
...やるべきことをやり続けて不安をなくす努力をしてきたベラルーシ。やることをやらずに不安を大きくする日本…、この差は何でしょうか!


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20160426 チェルノブイリメモリアルデイ~原水禁

2016-04-26 19:07:46 | 政策・訴え・声
20160426 チェルノブイリメモリアルデイ~原水禁
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

TPPと私たちの食・農・くらし 鈴木宣弘東京大学教授 2.TPP以前に現場の疲弊が進んでいる

2016-04-26 18:40:43 | TPPと私たちの食・農・くらし
2.TPP以前に現場の疲弊が進んでいる
TPP以前の段階で、このままの政策体系では、日本の食と農を持続的に守るのは困難な情勢になっていることを認識すべきである。それなのに、これにTPPの影響が加わっても何もしなくてよいというのはどういうことか。
我々の試算では、戸別所得補償制度を段階的に廃止し、ナラシのみを残し、生産調整を緩和していくという「新農政」が着実に実施された場合、2030年頃には、1俵(60kg)で9,900円程度の米価で約600万トンでコメの需給が均衡する。ナラシを受けても米価は10,200円程度で、15ha以上層の生産コストがやっと賄える程度にしかならない(図1)。
「岩盤」(所得の下支え)が導入される前で、資材高騰やTPP不安の影響もない2000~2005年の5年間の経営規模階層間の農家数の移動割合を将来に引き延ばすと、コメ生産は、10haないし15haを分岐点として、規模拡大は進むものの、離農や規模縮小農家の減産をカバーできるだけの農地集約が行われず、コメの総生産は15年後の2030年には670万トン程度になり(表3)、稲作付農家数も5万戸を切り、地域コミュニティが存続できなくなる地域が続出する可能性がある。だからこそ、「ナラシ」(収入変動をならす政策)だけでは不十分との現場の声を受けて戸別所得補償制度が導入されたことを忘れてはならない。

図1 所得の「岩盤」を廃止する新政策下における米価の推移の試算(円/60kg)

資料: 東大鈴木研究室グループによる暫定試算値。

一方、2000~2012年について年齢階層別の嗜好変化を、価格と所得の影響を分離して抽出し、将来に引き延ばすと、の維持が心配されるにもかかわらず、”それでもコメは「余る」”のである(表4)。そこで、コメから他作物への転換、あるいは主食用以外のコメ生産の拡大が必要ということになるが、しかし、非主食用米のうち最も力点が置かれている飼料米については、その需要先となる畜産部門の生産が大幅に縮小していくと見込まれるため(表3)、生産しても受け皿が不足する事態が心配される(一方、飼料米を積極的に導入することによって酪農・畜産の生産費削減が可能となるので、飼料米の普及が畜産の生産力を回復させる可能性も指摘されている)。

表3 品目別総生産量指数(2015年=100)
2015年 2020年 2025年 2030年
コメ 100.00 94.63 90.71 87.71
100.00 94.25 89.05 84.22
小麦 100.00 105.87 109.66 111.55
大豆 100.00 94.88 87.07 78.14
野菜 100.00 89.15 79.02 69.75
果樹 100.00 87.36 76.41 66.89
ばれいしょ 100.00 87.66 76.79 67.22
生乳 100.00 87.02 75.74 65.99
牛肉 100.00 82.12 67.92 56.55
豚肉 100.00 72.41 53.31 40.04
ブロイラー 100.00 81.76 67.19 55.60
資料:JC総研客員研究員姜薈さん推計。
注:コメの上段は2005-2010年データ、下段は2000-2005年データに基づく推計。その他は2000-2005年データに基づく推計。

消費が伸びるのは、パンなどの小麦製品、チーズ、豚肉、鶏肉である。その他は減少し、飲用乳は3割以上、コメ、みそ、しょうゆが2割以上、牛肉、果物が2割程度、野菜は堅調で数%の減少と見込まれる。総じて、生産、消費の双方がともに縮小基調を辿るが、生産の減少幅のほうが大きいため、「縮小均衡」も無理で、自給率がさらに低下するものが大半であることは事態の深刻さを如実に物語っている(表5)。中でも、豚、鶏は、最も生産縮小幅が大きい一方で、消費の伸びは最も大きいので、需給ギャップが輸入で埋められるとすれば、豚、鶏の自給率の低下は著しいものとなる。
この結果は生産資材価格高騰やTPP(環太平洋連携協定)不安の影響を含んでいない。これに、TPPでのさらなる譲歩、岩盤をなくす農政改革、農業組織の解体などが進められたら、現場はどうなってしまうのか。

表4 品目別総消費量指数(2015年=100) 
2015年 2020年 2025年 2030年
コメ 100.00 91.71 83.45 75.23
パン 100.00 104.83 109.48 114.31
麺類 100.00 101.00 101.96 102.92
小麦粉 100.00 101.85 104.05 106.03
小麦換算 100.00 102.81 105.54 108.34
しょうゆ 100.00 91.73 83.81 76.24
みそ 100.00 91.85 83.66 75.40
生鮮野菜 100.00 99.48 98.24 96.29
生鮮果物 100.00 93.78 87.34 80.68
ばれいしょ 100.00 97.75 95.17 92.43
牛乳 100.00 87.45 76.13 65.77
チーズ 100.00 108.28 116.01 123.51
牛肉 100.00 91.70 84.57 78.29
豚肉 100.00 108.64 117.12 125.84
鶏肉 100.00 109.86 119.69 130.20
資料:JC総研客員研究員姜薈さん推計。

表5 品目別自給率
2015年 2020年 2025年 2030年
コメ 98.94 102.08 107.55 115.35
99.86 102.61 106.56 111.80
小麦 9.57 9.85 9.94 9.85
大豆 5.83 6.02 6.06 6.00
野菜 71.79 64.34 57.75 52.00
果樹 36.35 33.86 31.80 30.14
ばれいしょ 60.35 54.12 48.69 43.89
生乳 64.22 60.24 56.36 52.62
牛肉 37.64 33.71 30.23 27.19
豚肉 34.46 22.97 15.68 10.96
鶏肉 49.72 37.00 27.91 21.23
資料:JC総研客員研究員姜薈さん推計。
注:コメの上段は2005-2010年データ、下段は2000-2005年データに基づく推計。その他は2000-2005年データに基づく推計。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする