こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

TPPと私たちの食・農・くらし 鈴木宣弘東京大学教授 品目別の再試算の問題点

2016-04-24 19:16:38 | TPPと私たちの食・農・くらし
品目別の再試算の問題点~対策あるから影響なしの論理破綻
政府の影響試算の根本的問題は、農産物価格が10円下落しても差額補填によって10円が相殺されるか、生産費が10円低下するから所得・生産量は不変という点である。
例えば、酪農では加工原料乳価が最大7円/kg下がるが、所得も生産量も変わらないという。生クリーム向け生乳への補給金だけで7円の下落が相殺されるわけはない。畜産クラスター事業の強化で生産費が7円下がる保証もない。可能だと言うなら根拠を示すべきだ。
しかも、加工原料乳価が7円下落しても飲用乳価か不変というのは、北海道が都府県への移送を増やし、飲用乳価も7円下落しないと均衡しないという経済原理と矛盾する。輸入米を飼料米に回せば米価への影響がないというのも、国内の主食米を飼料米に向けている中で影響しないわけはない。
果物の加工向けと生果との関係も同様だ。政府は影響を加工向けの一部に限定するが、例えば、過去のオレンジ果汁自由化でジュースでの果物摂取が増えて国産の生果が圧迫されて価格下落・生産縮小が起きたのは歴史的事実だ。過去のデータから輸入オレンジ果汁の1%の価格低下が国産のみかん供給の1.32%の減少につながったという関係が推定される。これを用いれば、29.8%のオレンジ果汁の関税撤廃の影響は相当大きいことが一定の合理性を持って推定できる。
ブランド品への影響は1/2というのも根拠がない。例えば、過去のデータから豪州産輸入牛肉が1円下がるとA5ランクの和牛肉は0.87円下がるという、ほぼパラレルな関係にあることが推定できる。コメの在庫増加による価格下落圧力も、過去のデータから1万トンの在庫積み増しが41円/60kgの米価下落につながったと推定される。こうした値に準拠すれば、合理的説明が可能な影響試算ができる。
牛肉・豚肉は赤字の9割補填をするから所得・生産量が変わらないというのもおかしい。農家負担が25%あるから実際の政府補填は67.5%で、平均赤字の67.5%を補填しても大半の経営は赤字のままだから、全体の生産量は減ってしまうだろう。
 個別品目別に整理すると、
①コメ
米価下落も一切ないとしている。TPPによる追加輸入分は市場から「隔離」するから大丈夫というが、隔離とは欧米がやっているように援助物資や補助金付輸出として海外に送るなど、国内市場から切り離すことであり、備蓄米を増やして棚上げ期間も5年→3年に縮めるのだから、在庫が増え、それが順次市場に出てくることを織り込んだ価格形成が行われる。飼料米に回すから大丈夫かのような説明もあるが、飼料米に回していた主食米が圧迫され、主食米の価格が下落する。
また、収入保険を経営安定対策かのように提示しているが、これは過去5年の平均米価が9,000円/60kgなら9,000円を補填基準収入の算定に使うので、所得の下支えとはまったく別物だ。基準年が固定されず、下がった価格を順次基準にしていくのだから「底なし沼」である。米国では強固な「不足払い」(所得の下支え)に収入保険がプラスアルファされているのに、収入保険だけを取り出して米国を見本にしたというのも悪質なごまかしである。
②牛肉
牛肉価格の下落は、体質強化策と経営安定対策によって吸収されるというが、政府補填率が8割から9割になるだけで、それが可能とは思えない。かつ、価格低下による補填単価の増加の一方で、補填の財源としていた牛肉関税収入は1,000億円近く消失するのに、財務省は新たな財源を準備しない方針である。限られた農水予算内で手当てすれば、農水省予算のどこかが削られることになる。しかも、経営の収益性分析(付表)で明らかなように、赤字の9割補填(政府の実質補填は0.9×0.75で67.5%だが)を行なっても、相当に大規模な経営のみが黒字に転換するだけで、全体の生産量の減少を抑止できる可能性は極めて低い。特に乳雄肥育は全面的赤字のままである。
③豚肉
政府は、現在、コンビネーションで輸入価格を524円、関税を22.5円に抑制して輸入している業者が、50円の関税を払って、安い部位の単品輸入を増やすことはないから影響は4.3%の従価税分がほとんどとの形式論を展開する。しかし、50円なら低価格部位だけを大量に輸入する業者が増加するというのが業界及び歓喜する米国(=日本には大打撃)の見方である。赤字の9割補填を行なっても、相当に大規模な経営のみが黒字に転換するだけで、全体の生産量の減少を抑止できる可能性は極めて低いのは豚肉も同じである。
④酪農
政府試算では、チーズ向けの関税撤廃(50万トンのチーズ向け生乳が行き場を失いかねない)などの影響で、加工原料乳価が最大7円下がるとしているが、飲用向けにはまったく影響せず、また、北海道の生乳生産もまったく変化しないとしている。まず、加工向けが7円下がれば、北海道からの都府県への飲用移送が増えて、飲用乳価も7円下がらないと市場は均衡しない。また、生クリーム向けの補給金の復活と畜産クラスター事業による補助事業の強化で、7円の乳価下落はどうやって吸収できるのか。説得力のある説明は不可能である。
米国では、ミルク・マーケティング・オーダー(FMMO)制度の下、政府が、乳製品市況(政府の乳製品買い上げで下支えされている)から逆算した加工原料乳価をメーカーの最低支払い義務乳価として全国一律に設定し、それに全米2,600の郡(カウンティ)別に定めた「飲用プレミアム」を加算して地域別のメーカーの最低支払い義務の飲用乳価を毎月公定している。それでも、飼料高騰などで取引乳価がコストをカバーできない事態に備えて、最低限の「乳代-餌代」を下回ったら政府が補填する仕組みも2014年農業法で確立した(付図参照)。
つまり、日本の加工原料乳補給金に匹敵、いやそれ以上の役割を果たす政府の乳製品買い上げ+用途別乳価の最低価格支払い命令に加えて、最低限の所得(乳価-飼料コスト)を補填する仕組みを米国では組み合わせているのだから、我が国で、「補給金と所得補償は両立しない」という議論は成り立たない。
また、コメと酪農の所得補償については、モラルハザード(意図的な安売り)を招くから無理との指摘がなされてきたが、これはナンセンスである。安くなればコメ農家や酪農家向けの財政負担が増えても消費者の利益は拡大する。消費者利益の増大のほうが財政負担の増加より大きいので、日本社会全体では経済的利益はトータルで増加するというのが経済学の教えるところであり、我々の試算でもそうなる。「消費者負担型から財政負担型政策へ」と言ってきたのは政府である。
 また、「畜産クラスター」の拡充も対策と言われるが、現場での評価は「従来型の箱物投資を個人でし易くしただけで、クリアすべき条件設定も多いため施設・機械の総費用が大きくなり、1/2補助を受けても、補助金なしで個人で投資したほうが自己負担は小さい場合もある。増頭計画が前提でもあり、過剰投資と過剰負債を誘発しかねない」と否定的な声も多い。生クリームへの補給金が認められ、畜産クラスターも拡充されるからこれでよいなどと思っていたら、酪農の未来を失いかねない。
⑤果樹
生果、果汁を含め、全面的関税撤廃になる果樹についても、政府は軽微な影響しかないとしているが、特に、過去の果汁の貿易自由化で、ジュース消費が増え、国産の生果消費が圧迫されて自給率が著しく低下してきた経緯、加工向けの価格下落で需給調整機能が低下し、生果の下落にもつながってきたことなどを無視した著しい過小評価となっている。
⑥麦
 牛豚同様、財源確保の前提に問題がある。輸入小麦のマークアップ(実効17円/kg)を45%削減するので、輸入小麦の国内流通価格が下がり、国内麦価格の下落(▲14%程度)につながるとともに、約400億円の財政収入が減ってしまうので、価格下落に伴い、国内の小麦の固定支払い(ゲタ対策)などは拡充すべきところ、財源は大幅に減る。限られた農水予算で手当てすれば、暗渠排水予算が減らされるというようなしわ寄せが生じる。調整金が減少する砂糖も同様。
なお、米菓をはじめ、コメ、麦、乳製品、砂糖などを含む加工品や調製品も関税撤廃・削減されるが、それは食品産業の空洞化を招き、原料農産物が行き場を失い、地域の雇用も失われる。こうした影響も勘案されていない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

チェルノブイリから30年

2016-04-24 19:09:21 | 脱原発・危機管理

今から30年前の1986年4月26日、チェルノブイリ原子力発電所でレベル7の深刻な事故が起きた。原発から30キロ圏内の11万6千人が故郷を失った。

24日、日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)の主催で、10日前にベラルーシから帰国したばかりの鎌田實理事長のお話を聞いた。

事故後に、いったんは町に住んでいたが故郷に戻って暮らしているお年寄りのお話し。年間5ミリシーベルト以上は強制避難、1~5ミリシーベルトは、「サマー(ロシア語)」自分で決めて、戻ってきた。「寂しくないか」と聞くと、「寂しい」と答える老婆。故郷を失わせ、寂しさのなかで生きる老婆、原発事故がなければと思わざるを得ない。

ベラルーシは、この30年間1回24日間の保養を年2回やりつづけてきた。18才未満は2年に1回、18才以上は5年に1回、健康診断を、30年間続けてきた。検診を行い異常が見つかれば適切な治療を施すことで95%の子どもの命が救われた。
...やるべきことをやりつづけて不安をなくす努力を続けてきたベラルーシ。やることをやらずに不安を大きくする日本…、この差は何か!


JCF日本チェルノブイリ連帯基金は、イラク戦争で劣化ウラン弾が使われ、白血病の子どもが増えたことから、イラクへの医療支援も行っている。

24日は、イラクから急遽、帰国したJCFのスタッフ加藤丈典さんと、医師のリカ・アルカザイルさんから報告がされた。
現在、JCFなど8団体で構成するJIMNET(日本イラク医療支援ネットワーク)の中心的活動をJCFがになっている。これまでに小児白血病の診療所を4か所で運営している。
シリアやイラクから300万人を超える難民がEUに避難していることが国際的に大きな課題となっている。2014年6月にニーナワー県のモスルがイスラム国の侵攻により陥落したことを契機に320万人以上の国内避難民が発生している。その結果ニーナワー県の行政は完全に麻痺し、人々の健康を守る保健局も崩壊した。その代わりに避難民の中から有志の医療従事者が自主的に医療サービスを開始したのがマルチシムーニ教会クリニックである。
JCFは、このクリニックに対して「薬品処方指導」「医療体制構築支援」を行ってきた。しかし増え続ける国内難民への医療支援のほんの一部にすぎない。そこでニーナワー県の保健局の離散した6000人の職員が働ける場所をつくろうと、アラブ人とクルド人が協力を始めた。ニーナワー保健局のマンパワーとクルド自治区は医療施設を提供するというものである。もともと歴史的にも反発しあってきた民族だが「子どもの命」を守るために協力しあい。その橋渡しをJCFがした。

■信州医療が世界の平和を創る
鎌田理事長は、イラクの医療支援の中で、長野県が健康長寿であることの秘訣である「減塩」「野菜を取る」「歩く」「生きがいを持つ」ことを広げている。
鎌田理事長は語る、「今週は自分の健康のために歩いてみよう。来週は家族や仲間の健康を考えて歩いてみよう。次の週は命のことを考えて歩いてみよう。その次の週は誰の命も大切であることを考えて歩いてみようと、話している。平和を守ると言えば、それぞれの平和を守るために対立が生まれる。でも健康のことならだれでも一緒に考えられる。健康・命・平和はつながっている」。
鎌田理事長は続けて「僕たちは、これまで一度も危険な目にあったことはない。それは戦争をしない日本のNGOだからだ」と言い切る。


23日土曜日には、「ソ満国境15歳の夏」がピカデリーホールで上映された。70年前ソ連国境に捨てられた新京第一中学生120人。ソ連の捕虜収容所で息絶えた4人の仲間。福島原発事故で故郷を失った現在の15歳の子どもたちが、苑』取材を進めるというストーリー。捕虜収容所から新京へ向かう中学生を救った中国人。「中国の村人が日本人を助けたことによって、これからの世代にどんな新しい歴史が生まれるのか楽しみだ」と村長が語る。
鎌田理事長も、「イラクやシリア難民は世界がほんの少し支援をするだけで命が救われる」と話す。故郷が失われないように。子どものたちの命を救うために。熊本の地震による被災者への支援。原発事故による放射能から子どもたちを守ること。私たちは戦争やチェルノブイリが伝える教訓をもう一度考える必要があるのではないでしょうか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

TPPと私たちの食・農・くらし 鈴木宣弘東京大学教授 米国に日本が画策~どこまでも差し出す国益

2016-04-23 08:42:05 | TPPと私たちの食・農・くらし
批准が困難になっている米国に日本が画策~どこまでも差し出す国益
米国では批准が容易でない状況にある。米国議会がTPA(オバマ大統領への交渉権限付与)の承認にあたり、TPPで米国が獲得すべき条件が明記されたが、通商政策を統括する上院財政委員会のハッチ委員長(共和党)がTPP合意は「残念ながら嘆かわしいほど不十分だ」と表明し、このままでは議会承認が難しいことを示唆し、再交渉も匂わせている。ハッチ氏は巨大製薬会社などから巨額の献金を受け(注)、特に、薬の特許の保護期間、ISDSからタバコ規制が除外できることなどを問題視している。次期米国大統領の最有力候補のヒラリー・クリントンさんはじめ、労働者、市民、環境を守る立場から与党民主党はそもそも反対である。「巨大企業の経営陣の利益VS市民生活」の構造だが、双方から不満が出ている。主な大統領候補の全員がTPPに反対を表明している。
心配は、日本政府は再交渉には応じないとしつつ、米国議会批准のために水面下で日本がさらに何かを差し出すことだが、もうしている。駐米公使の「条文は変えずに改善できる」との発言や、豚肉政策の改善要求が発覚するなど、米国側からの追加要求に日本がすでに対応努力をしており、際限なき国益の差出しは留まるところを知らない。
そもそも、米国議会でTPAが1票差でぎりぎり可決されたのに貢献したのは日本政府だった。機密費を何十億もロビイストを通じて反対議員に配り、説得工作をしたと報道されている(Bloomberg 2015.5.24)。米国では日本の譲歩による米国の利益を強調し、日本国内では、何も影響がないと言うのはどういうことか。「TPPはバラ色」と見せかけ、自身の政治的地位を少しでも長く維持するために、国民を犠牲にしてでも米国政府(その背後のグローバル企業)の意向に沿おうとする行為が、かりにも行われているとしたら、これ以上容認できない。
政府は「規模拡大してコストダウンで輸出産業に」との空論をメディアも総動員して展開しているが、その意味は「既存の農林漁家はつぶれても、全国のごく一部の優良農地だけでいいから、大手企業が自由に参入して儲けられる農業をやればよい」ということのように見える。しかし、それでは、国民の食料は守れない。
食料を守ることは国民一人ひとりの命と環境と国境を守る国家安全保障の要である。米国では農家の「収入-コスト」に最低限必要な水準を設定し、それを下回ったときには政府による補填が発動される。農林漁家が所得の最低限の目安が持てるような予見可能なシステムを導入し、農家の投資と増産を促し輸出を振興している。我が国も、農家保護という認識でなく、安全保障費用として国民が応分の負担をする食料戦略を確立すべきである。
関係者が目先の条件闘争に安易に陥ると、日本の食と農林水産業の未来を失う。TPP農業対策の大半は過去の事業の焼き直しに過ぎないばかりか、法人化・規模拡大要件を厳しくして一般の農家は応募が困難に設計され、対象を「企業」に絞り込もうとしているのも露骨である。TPPの影響が次第に強まってきて、気が付いたときには「ゆでガエル」になってしまう。現場で頑張ってきた地域の人々はどうなってしまうのか。全国の地域の人々ともに、食と農と暮らしの未来を崩壊させないために主張し続ける人々がいなくてはならない。まず、食料のみならず、守るべき国益を規定した政権公約と国会決議と整合するとの根拠を国民に示せない限り、批准手続きはあり得ない。
(注)下院議員への献金は2012年10月から2年間で1億9800万ドル(245億円)、上院議員には2008年10月から6年間で2億1800万ドル(270億円)にのぼる。特に、2015年4月に「超党派TPA法案」を提出した三羽烏(ハッチ、ライアン、ワイデン各議員)とベイナー下院議長、マッコネル上院院内総務などへの献金額は突出している(表1)。

イギリスの新聞「ガーディアン」(5月27日)は、アメリカの大企業が今年1月15日から3月15日にTPA法案への賛否が揺れている上院議員を狙い撃ちにして献金したことを報道。献金したのは、ノバルティスやモンサント、アフラックなどアメリカの150企業・団体で作る圧力団体「TPPのためのアメリカ企業連合」に加わっている企業(表2)。上院の採決は、審議打ち切り動議の可決に必要な票をわずか1票上回っただけという綱渡り状況で、この裏工作がなければ、上院可決さえ危うかったのが実態。さらに、アメリカのNGO「KEI」は、9割以上が反対に回ると見込まれていた下院民主党議員に対し、医薬品企業が攻勢をかけた事実を告発。いったんは事実上否決されたTPA法案が6月18日の下院本会議でゾンビのように生き返った裏に、民主党議員28人が賛成に回った事情があり、このうち24人に医薬品企業が献金していたことを暴露。採決の結果は賛成218で、過半数をわずか1票上回っただけ。“ピンポイント献金”の効果は絶大だった。(新聞「農民」2015.7.13付)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

杉尾ひでやさんとあいさつ回り

2016-04-22 22:46:55 | 活動日誌

昨日今日と、参議院選挙長野県選挙区予定候補者の杉尾ひでやさんと主に労組のあいさつ回りをしました。
私の担当は社民党を支持してくれている組織を回りましたが、どこの職場でも課題があります。
バス会社の労働組合では、軽井沢でのバス事故がなぜ起きたのか、国の規制緩和の結果であることを訴えられていました。
タクシーの労働組合でもバス会社と同じように規制緩和の中で労働者の賃金が破壊され生活が破壊されたことを訴えていました。
水道の労働組合では、TPPで水まで多国籍企業に売り渡すことになるのではないかという危機感があります。
自治体では、熊本の災害もああり今の人員体制では住民の命と生活を守ることができないことが訴えられました。
どこの職場でも、自分のことだけではない、市民のライフラインにかかわる仕事だけに切実な思いが杉尾さんに届けられました。
杉尾さんからは、持続可能な社会を市民と一緒にどうつくっていくのか考えていきたいと熱心にメモをとりながらお答えになっていました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

松本市現業統一闘争4.21総決起集会

2016-04-22 11:23:35 | 活動日誌

「2016現業統一闘争」がスタートを切りました。
安倍政権は、さらなる民間活力導入、「公的サービスの産業化」を推し進めるべく、「トップランナー方式」として民間委託などで歳出削減を進めた自治体の数値を、地方港税の算定に反映すると打ち出しました。全国の現業職場の「委託化」「指定管理者化」が、国の圧倒的な権力によってさらに加速することは間違いありません。
私たち現業職員は、公的サービスの最前線で働いています。私たちの仕事の必要性を、行政はもちろん市民の方に認めてもらうための努力が求められています。伝えなければ、誰が何をやっているのかさえわかりません。国の圧力がかかる「今だからこそ」やらなればならないのです。
時代の流れに翻弄されず、「現業プライド」を守るために、どうしたらもっと良くなるのかを考えて働きます。
松本市では6年連続新規採用者を勝ち取り、市民サービスの担い手として「高い意識と意欲」を持った若者たちが、職場に新しい風を運んできています。彼らが定年まで現業職員として安心して働き続けられる職場を、何が何でも残すことが我々の使命です。

4月21日松本市現業職員労働組は、現業統一闘争のスタートをきる集会を開催し、上記の方針を確認しました。社民党を代表して私からは「災害があると思いだすライフラインの大切さ。そのライフライン、市民の命と暮らしを守ることに誇りをもって働いている皆さんに心から敬意を表します。お隣の韓国のパクウォンスン市長は持続可能な社会をつくるために非正規労働者の正規化、間接雇用労働者を直接雇用への転換を進めています。アメリカの大統領選挙でも格差是正を訴えるサンダース氏が若者の支持を集めています。職場を守り政治を変えるため共にがんばりましょう」」と連帯の挨拶を申し上げました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

TPPと私たちの食・農・くらし 鈴木宣弘東京大学教授  米国の要求に応え続ける「アリ地獄」

2016-04-22 11:21:24 | TPPと私たちの食・農・くらし
米国の要求に応え続ける「アリ地獄」
農産物関税のみならず、政権公約や国会決議で、TPP交渉において守るべき国益とされた食の安全、医療、自動車などの非関税措置についても、軽自動車の税金1.5倍、自由診療の拡大、薬価の公定制の見直し、かんぽ生命のがん保険非参入、全国2万戸の郵便局窓口でA社の保険販売、BSE(牛海綿状脳症)、ポストハーベスト農薬(防かび剤)など食品の安全基準の緩和、ISDSへの賛成など、日本のTPP参加を認めてもらうための米国に対する「入場料」交渉や参加後の日米平行協議の場で「自主的に」対応し、米国の要求が満たされ、国民に守ると約束した国益の決議は早くから全面的に破綻していた。
しかも、「TPPとも米国とも関係なく自主的にやったこと」と説明しておきながら、結局、TPP合意の付属文書に、例えば、「両国政府は、①日本郵政の販売網へのアクセス、②かんぽ生命に対する規制上の監督及び取扱い、③かんぽ生命の透明性等に関してとる措置等につき認識の一致をみた。」などの形で前言が誤謬だったこと、実は国会決議違反だったことを平然と認めている。
さらには、米国投資家の追加要求に日本の規制改革会議を通じて対処することも約束されており、TPPの条文でなく、際限なく続く日米2国間協議で、日米巨大企業の経営陣の利益のために国民生活が犠牲になる「アリ地獄」にはまったかの懸念を抱く。それにしても、法的位置づけもない諮問機関に利害の一致する仲間だけを集めて国の方向性を勝手に決めてしまう流れは、不公正かつ危険と言わざるを得ない。
米国から見れば、日本から取るべきものは、ほぼすべて取り、日本が期待する米国の自動車関税の撤廃は「骨抜き」にして、農産物などの実利は確保した「日米FTA」を作り上げている。したがって、12か国のTPPが頓挫しても、農産物関税も含めて日米合意が実質的に履行されるような方策が探られる可能性が懸念されたが、案の定、米国を利するだけなのに、わざわざ日本が、参加国の85%のGDPを占める6か国で、つまり実質的に日米2国でTPPを発効させ、残りの国は後で審査して順次追加していく提案を行った。この発効条件は大筋合意にも盛り込まれた。

[コラム] 自民党が決議した「TPP交渉で守るべき国益」は、関税の「聖域」のほかに5項目あった。
① 農林水産品における関税 米、麦、牛肉、乳製品、砂糖等の農林水産物の重要品目が、除外又は再協議の対象となること。
② 自動車等の安全基準、環境基準、数値目標等 自動車における排ガス規制、安全基準認証、税制、軽自動車優遇等の我が国固有の安全基準、環境基準等を損なわないこと及び自由貿易の理念に反する工業製品の数値目標は受け入れないこと。
③ 国民皆保険、公的薬価制度 公的な医療給付範囲を維持すること。医療機関経営への営利企業参入、混合診療の全面解禁を許さないこと。公的薬価算定の仕組みを改悪しないこと。
④ 食の安全安心の基準 残留農薬・食品添加物の基準、遺伝子組換え食品の表示義務、輸入原材料の原産地表示、BSE基準等において、食の安全安心が損なわれないこと。
⑤ ISD条項 国の主権を損なうようなISD条項は合意しないこと。
⑥ 政府調達・金融サービス等 政府調達及びかんぽ、郵貯、共済等の金融サービス等のあり方については我が国の特性を踏まえること。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

TPPと私たちの食・農・くらし 鈴木宣弘東京大学教授 「健康と環境は訴えられない」?他

2016-04-21 12:24:18 | TPPと私たちの食・農・くらし
「健康と環境は訴えられない」?
特許の保護期間の長期化を米国製薬会社が執拗に求めて難航したことに、「人の命よりも巨大企業の経営陣の利益を増やすためのルールを押し付ける」TPPの本質が露呈している。グローバル企業による健康・環境被害を規制しようとしても損害賠償させられるというISDS条項で「濫訴防止」が担保されたというのも疑問だ。タバコ規制は対象外に(カーブアウト)できるが、その他は異議申し立てしても、国際法廷が棄却すればそれまでである。健康や環境よりも企業利益が優先されるのがTPPだ。
要するに、「米国企業に対する海外市場での一切の差別と不利を認めない」ことがTPPの大原則なのである。遺伝子組み換え(GM)表示もその他の食品表示、安全基準も、「地産地消」運動なども、TPPの条文に緩和が規定されなくてもISDSの提訴で崩される危険性を忘れてはならない。韓米FTAでは、ソウル市の学校給食条例の廃止に象徴されるように、米国産を不当に差別する可能性を指摘され、数多くの国や地方自治体レベルの法律・条令を「自主的に」廃止・修正することになった。かたや米国は、TPPが連邦法にしか影響しないので、州法による「バイアメリカン」(公共事業に国産義務付け)は影響を受けない。

「消費者は利益」?
消費者の価格低下のメリットが強調されているが、輸入価格低下の多くが流通部門で吸収されて小売価格はあまり下がらない。さらには、日本の税収約60兆円のうち2%程度を占める関税収入の多くを失うことは、その分だけ消費税を上げるなどして税負担を増やす必要があることになり、相殺されてしまうのである。
さらには、米国などの牛肉・豚肉・乳製品には、日本では認可されていない成長ホルモンなどが使用されており、それが心配だと言っても、国内で生産農家がいなくなってしまったら、選ぶことさえできなくなる。

「食の安全基準は守られる」?
食品の安全性については、国際的な安全基準(SPS)の順守を規定しているだけだから、日本の安全基準が影響を受けることはないという政府見解も間違いである。米国は日本が科学的根拠に基づかない国際基準以上の厳しい措置を採用しているのを国際基準(SPS)に合わさせると言っている。
例えば、BSE(牛海綿状脳症)に伴う牛肉の輸入基準は米国にTPP交渉参加を承認してもらう「入場料」として、すでに20か月齢から30か月齢まで緩めたが、国際基準ではBSE清浄国に対しては月齢制限自体ができないので、米国からの要求を見越して、食品安全委員会は月齢制限撤廃の準備を完了している。国民への説明と完全に矛盾する。
また、「遺伝子組み換え(GM)でない」という表示が消費者を「誤認」させるとして、「GMが安全でない」という科学的根拠が示せないならやめろと求められ、最終的には、ISDS条項で損害賠償させるぞと脅されて、その前に「自主的に」撤廃に追い込まれることも想定しなくてはならない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

TPPと私たちの食・農・くらし 鈴木宣弘東京大学教授 「TPPはビジネス・チャンス」?

2016-04-20 09:24:55 | TPPと私たちの食・農・くらし
「TPPはビジネス・チャンス」?
日本が、ここまでして合意を装いたかったのはなぜか。アベノミクスの成果が各地の一般国民の生活には実感されない(そもそもアベノミクスは一部の投資家と企業の経営陣のために円安誘導と株価の強引な引き上げを行うものだから、地域経済全般にはマイナスなのは当然である)のを覆い隠すため、TPP合意発表で明るい未来があるかのように見せかけようとした側面もある。しかし、ビジネス拡大のバラ色の世界が広がるかのように喧伝されているが、TPPがチャンスだというのはグローバル企業の経営陣にとっての話で、TPPで国民の仕事を増やし賃金を引き上げることは困難である。冷静に考えれば、ベトナムの賃金が日本の1/36という下での投資や人の移動の自由化は、日本人の雇用を減らし、賃金を引き下げる。端的に言うと、グローバル企業の利益拡大にはプラスで、中小企業、人々の雇用、健康、環境にはマイナスなのがTPPだ。そもそも内閣府などのモデルで失業が問題にならないのは、農家が失業しても、即座に自動車産業の技術者として再就職できるというような生産要素の「完全流動性」「完全雇用」を仮定しているからであり、米国のタフツ大学でも、この非現実的な仮定を排除した試算では、TPPによって、日本のGDPは、TPPがなかった場合よりも、今後10年間で、0.12%低下し、雇用は7万4千人減少すると推定されている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

TPPと私たちの食・農・くらし 鈴木宣弘東京大学教授 「踏みとどまった感」を演出した「演技」

2016-04-20 09:21:59 | TPPと私たちの食・農・くらし
「踏みとどまった感」を演出した「演技」
牛肉関税の9%に象徴されるように、今回の主な合意内容は、すでに、昨年4月のオバマ大統領の訪日時に、一部メディアが「秘密合意」として報道し、一度は合意されたとみられる内容と、ほぼ同じだ。つまり、安倍総理とオバマ大統領は、昨年4月に、実は、寿司屋で「にぎっていた」のである。そのわずか2週間前に日豪の合意で、冷凍牛肉関税を38.5%→19.5%と下げて、国会決議違反との批判に対して、19.5%をTPPの日米交渉のレッドラインとして踏ん張るからと国民に言い訳しておきながら、舌の根も乾かぬうちに9%にしてしまっていたのであるから、恐れ入る。
その後は、双方が熾烈な交渉を展開し、必死に頑張っている演技をして、いよいよ出すべきタイミングを計っていただけの「演技」だったのだ。フロマンさんと甘利さん(今は「斡旋利得罪」でお縄の可能性→TPPこそ製薬企業などからの巨額献金に応える「斡旋利得罪」)の徹夜でフラフラになった演技は見事だ。「これだけ厳しい交渉を続けて、ここで踏みとどまったのだから許してくれ」と言い訳するための「猿芝居」を知らずに将来不安で悩み、廃業も増えた現場の農家の苦しみは、彼らにとってはどうでもいいこと、いかに米国や官邸の指令に従って、国民を騙し、事を成し遂げることで自身の地位を守るのがすべてなのかと疑いたくなる。
そもそも、3.11の大震災の2週間後に「これでTPPが水面下で進められる」と喜び、「原発の責任回避にTPP」と言い、「TPPと似ている韓米FTAを国民に知らせるな」と箝口令をしいた人達の責任は重大だ。このような背信行為に良心の呵責を感じるどころか、首尾よく国民を欺いて事を成し得た達成感に浸っているかに見える。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20150415 TPPと私たちの食・農・くらし~鈴木宣弘先生

2016-04-20 09:21:22 | TPPと私たちの食・農・くらし

20150415 TPPと私たちの食・農・くらし~鈴木宣弘先生

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする