リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

信頼に足る資料・楽譜の選択(6)

2020年08月04日 13時59分16秒 | 音楽系
ヴァイスに関しては、割と最近ですが、ロンドンの大英図書館が Add30387写本(いわゆるロンドン写本)を無料でダウンロードできるようにしています。カラー版です。フランス・ブサンソンの図書館でもSaizeney写本を公開していて無料ダウンロード可能です。こちらもカラー版。この写本は、ド・ビゼーのテオルボ曲、リュート編曲、ガロ、ムートン、ゴーティエなどのフランス作品の宝庫とも言える写本です。

この2冊をiPad の楽譜閲覧ソフト(ForScoreがイチオシ)に取り込めば、印刷して製本する必要もなく、カラーのとても鮮明なタブで演奏することができます。ヴァイスのロンドン写本はもともと綺麗で鮮明ですが、セズネ写本は私がかつて入手したマイクロフィルムはモノクロで、印刷すると上部が傷んでいるため真っ黒になっている部分もあり、大切な曲名表示が読めない箇所がありました。これがカラー版だとはっきりと読めるのでとても助かります。マイクロフィルムを入手して印刷製本をするのは、手間も経費もかかりましたので、本当にいい時代になったものです。

もうこの2冊あれば一生過ごせそうですが、中にはネットで楽譜を集めまくる人もいます。そんなに集めまくっても弾けるわけがないのにとは思いますが、まぁそれは個人の自由ですからよしとしましょう。

昔の人は高級な紙(紙そのものが高級品でした)に書き写し、印刷本の場合は高額の対価を支払い自分の楽譜として使い、またそれらの本は丁寧に保管されていました。それだからこそ今に至るまで伝えられて私たちが活用できるのあり、昔の人に敬意を表し、その価値に見合った使い方をしたいものです。