リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

マイナカードスマホ搭載

2023年05月11日 12時21分30秒 | 日々のこと
今日からアンドロイドスマホにマイナカードを搭載できるそうです。

マイナカードは便利ではありますが、物理的なカードですので、たとえば保険証の代わりに使えるといってもプラスチックのカードを持っていかなければならず、それなら薄い紙っぺらの保険証の方がかさばらずに済みます。マイナカードが保険証としてつかえるのは、診療所には大きなメリットがあるでしょうがユーザーにはほとんどメリットはありません。そんなものを一般の人は活用するわけがありません。

そこに大きな旋風が!スマホにマイナカードが搭載です。当面はアンドロイドスマホだけらしいですが。これなら大体外出するときに持っていくいつものスマホが保険証の代わりになるわけですからユーザーのメリットは大きいです。確定申告のときなんかマイナカードの上にスマホをかざしてなんて、何と前時代的な方法なんでしょう。マイナカードを引っ張り出してきて「かざす」なんて!

マイナカードをスマホに搭載すると大いに利便性が高まりますが、iPhoneに搭載するのはまだ少し先になるそうです。マイナカードをスマホに搭載するには、スマホの中にあるセキュアエレメントというチップの機能を使うそうです。そのためにOSを改修する必要があるらしいのですが、アンドロイドはオープンソースなのでOSの書き換え自由なのに対してiPhoneのiOSはアップルの協力がないとできないからです。

私のiPhone14にはすでにSuica, Visaが搭載されていいますが、早く来い来いマイナカードです。(笑)

the Lady Cliftonはどういう人ですか(3)

2023年05月10日 17時23分33秒 | 音楽系
写本のフォリオ58rに件の曲があり、解説書の当該箇所を見てみました。音楽学者のラムスデン博士やポールトン氏の解説が引用されていました。要点をかいつまんでみますと、


・Dd.2.11の曲名はキャサリン・ダーシーの御心、作曲者はジョン・ダウランドである。

・キャサリン・ダーシーはジャーヴェス・クリフトンと結婚し、夫が1597年に騎士に叙せられるとレディー・クリフトンの称号を得た。


ということでした。キャサリン・ダーシー→レディー・クリフトンなんですね。Dd.2.11が編纂された頃はキャサリン・ダーシーでVARIETIE OF LUTE-lessons(1610)が出版された頃にはレディー・クリフトンだったわけです。

VARIETIE OF LUTE-lessonsでは件の曲はロバートになっていて、Dd.2.11における作曲者とは異なっています。ではこの曲はダウランド親子のどちらが書いたのでしょうか。これを詳しく調べていきましょう。

the Lady Cliftonとはどういう人ですか(2)

2023年05月09日 11時50分37秒 | 音楽系
しかたがないので自力で調べることにしました。実はこの曲、バーゼルにいた頃にホピーのレッスンを受けたことがある曲です。使った楽譜はVARIETIE OF ・・・のものでしたが、これと同じ曲がケンブリッジ大学のDd.2.11という写本(マシュー・ホームズ写本)にあるということをホピーはいっていました。その写本では作曲者はジョン・ダウランドになっているとのこと。下宿に帰って自分でプリントしたDd.2.11見てみましたがそのときは曲と作曲者名を確認しただけでした。

私が昔ケンブリッジ大学から入手したDd.d.11のマイクロフィルムからプリントして製本をしたものは、モノクロでページの上部がシミで真っ黒になっているものでした。もうちょっと軟調の印画紙でプリントすればよかったんですが、そういうものがなかったのでやむなくページ上部が見づらいものになってしましました。

うれしいことにイギリスリュート協会が10年ほど前にカラー印刷で出版しました。もちろん即買いでした。カラー版なのでページの上部もよごれはあるものの全てきちんと見えることには感動しました。しかもきちんと目次もあり別冊になっている解説本までついています。これでお値段は確か1万円くらいでしたから、破格のお値段!一家に一冊のお薦め本です。そのカラー版の写本を見てみました。

the Lady Cliftonとはどういう人ですか(1)

2023年05月08日 11時51分44秒 | 音楽系
3日前のエントリーでthe Lady Richのことに触れましたが、今回はVARIETIE OF LUTE-lessonsにおける次の曲名に出てくるthe Lady Cliftonについて書いてみましょう。

Windows 11 の一番下の段をみますと、いつのまにか「b」をあしらったアイコンが出ています。最新版にアップデートしてから出るようになりました。

BingでChatGPTみたいなことができるということを言っていましたので、そのアイコンをクリックしてEdgeからBingを一発で開けるようにしてあるようです。

早速クリックすると、いきなり「何でも聞いて下さい」とでました。ChatGPTを使うより相当手間がはぶけます。では聞いてみましょう。


the Lady Cliftonとはどういう人ですか。


クリフトン夫人とは、ダウランドが作曲したリュート独奏曲の題名に使われた人物ですが、その正体は不明です。ダウランドは他にも多くの人物に曲を献呈しており、その中には王族や貴族、友人や同僚などがいます2。クリフトン夫人もダウランドと何らかの関係があったと思われますが、詳しいことは分かっていません。


すぐに答えてくれましたが、まぁ通り一遍のことしか書かれていません。回答には注釈の番号がついていて、注釈には関連サイトが紹介されていました。関連サイトといってもアマチュアがその辺の情報を寄せ集めたものやCD屋さんのサイトばかりでした。

戴冠式の音楽

2023年05月07日 15時39分58秒 | 音楽系
チャールズ3世の戴冠式で使われた音楽のうち、委嘱作品はアンドルー・ロイド・ウェバー(1948- )ほか11名が新曲を書いたそうですが(ネット情報)どんな曲だったんでしょうね。

エリザベス2世のその前のジョージ6世のときはウィリアム・ウォルトンが行進曲を書いています。1936年に作曲されたジョージ6世の戴冠式のための行進曲は、「王冠」という名が付いています。ペンタトニック風(ドリア調みたいにも聞こえます)のテーマはとても典雅でオーケストレーションは華麗を極めます。

日本では團伊玖磨が作曲した皇太子(上皇)成婚のための行進曲、「祝典行進曲」もとても典雅ですが、オーケストレーションは控えめでいかにも日本的と言えます。ウォルトンみたいに書いてしまうと違和感マックスですね。(笑)

先の女王エリザベス2世の戴冠式には、ウォルトンは「宝珠と王杖」という行進曲を書いています。こちらもとても華やかな感じがする曲ですが、個人的には前の行進曲好きですね。

1902年生まれのウォルトンはさすがに今回のチャールズ3世の行進曲を書くことはできませんでしたが、生きていたらどんな曲を書いていたんでしょう。噂になっている今回の新曲、テレビの放送では流れていたかもしれませんが、きちんと見ていたわけではありませんのでどれが新曲であったのかはよく分かりませんでした。そのうちに聞いてみたいと思います。

わりと素直なChatGPT(2)

2023年05月06日 12時42分50秒 | 音楽系
私「貴族の令嬢であるリッチ、というのを日本の皇族を表すような表現はないですか」

チャ「貴族の令嬢である「リッチの淑女」という表現は、日本の皇族を表すような固有の表現ではありません。英語で「the Lady」は貴族の女性を示す敬称であるため、和訳するときはその貴族の名前を加えて「~夫人」と訳されることが一般的です。同様に、日本の皇族に対しても「~殿下」という敬称が使われますが、それぞれの皇族に対応する固有の表現はありません」

なんか質問からは離れてしまって迷走して来ていますね。要するにわからんということでしょう。素直なのは良かったんですが、結局使えそうな言い方には至りませんでした。

まぁ結局は「リッチ嬢」でしょうか。でもこれだと芸がありません。「リッチ殿下」「リッチ姫」・・・次の曲ガリヤード6番もthe Ladyが出てきますのでしっかりと考えてみます。ChatGPTは饒舌ですが、それにだまされてはいけません。中身は大したことがないヤツだと思ってかかるくらいがちょうどいいのではないでしょうか。

割と素直なChatGPT(1)

2023年05月05日 16時18分48秒 | 音楽系
VARIETIE OF LUTE-lessonsのガリヤードの部にThe right Honourable the Lady Rich, her Galliardと題された曲があります。「まさに尊敬すべきthe Lady Richのガリヤード」という意味ですが、このthe Lady Richの訳語でいいことばはないでしょうか。CDなんかの訳語ではリッチ嬢と訳することが多いですが、~嬢だと普通の家の女子だって使いますよね。

the Ladyというのは「公・候・伯爵の令嬢。令嬢の場合はfirst nameに付ける」とリーダーズ英和辞典に書いてありますので、このガリヤードのRichという女性は令嬢なのです。

そこで頼みの綱?のChatGPTです。

「イギリス帰属のthe Lady Richを日本語に訳して下さい」と尋ねてみました。(以下「私」)すると「the Lady Richを日本語に訳すと「リッチ夫人」となります」とChatGPT。(以下チャ)

私「それは違うのではないですか。貴族の令嬢であるリッチです」

チャ「申し訳ありません。誤解を招く回答をしてしまいました。ご指摘頂きありがとうございます。the Lady Richは「リッチ夫人」ではなく貴族の令嬢である「リッチの淑女」と訳されます。お詫び申し上げます」

すぐに謝ってくるなんて割と素直ですが、よけい意味不明の回答になってきました。だいたい~夫人というのは、~には夫の名前を入れます。キュリー夫人は夫ピエール・キュリーの妻ということで、彼女の名前はマリーです。デビ夫人は正確にはスカルノ夫人といういうべきなんでしょう。

音楽の父と母 in 桑名六華苑

2023年05月04日 21時23分29秒 | 音楽系
今月の28日に桑名六華苑で「音楽の父と母」と題しまして、ソプラノの森川郁子さんとミニコンサートを開催します。



3月に豊橋で開催したコンサートの関連コンサートですが、ミニコンサートですので曲目は少し短めです。

バッハとヘンデルでプログラムを組みますとさすがに豪華な曲目になります。2曲ほどリュートソロも入れる予定です。ご都合がおつきになる方はぜひお越し下さい。コンサートは無料ですが、六華苑への入苑料が必要になります。

金魚祭り

2023年05月03日 19時24分57秒 | ローカルネタ
九華公園で久しぶりに開催された金魚祭りに行ってきました。2019年以来といいますから4年ぶりです。昔は近隣の金魚養殖の業者さんが大勢露天を出していました。でも若年人口が減ったせいか私の子供の頃と比べると人出は感覚的には100分の1程度です。



なんかちょっと寂しい感じですけど、昔は写真左手の上方にロープを張りそこを伝って飛んでいるように動く飛行機のおもちゃのデモがあったのをよく覚えています。道の両脇にはぎっしり露天がでていました。サーカスも来ていたっけ。右前方の電柱のそばには傷痍軍人もいました。

祭りでは金魚の神輿も繰り出します。



九華公園には楽翁(松平定信)没後100周年を記念して建てられた楽翁公百年祭記念宝物館がありのぞいてきました。



ここは年に2日しか一般公開されないレアな博物館です。建物は1934年竣工の鉄筋です。1944年の昭和東南海地震、1945年の三河地震そしてそのすぐ後から数回にわたって続いたB29の空襲さらに戦後の伊勢湾台風にも堪え、奇跡的に残された建物と宝物です。中には松平定信、定綱ゆかりの品々をはじめ貴重なお宝が目白押し。見学者の中にはなんと東京からお越しになった若い方もいっらっしゃいました。分かる人には分かるんですねぇ。

VARIETIE OF LUTE-lessons、注目の注釈

2023年05月02日 16時27分51秒 | 音楽系
VARIETIE OF LUTE-lessonsの邦訳版に付けた注釈でぜひ見ておいてほしいものがあります。

ひとつは oyle of Tartarに付けた注釈。

これは当ブログでも何度も書きましたので詳しくはそちらをご覧頂きたいですが、このことばは外国のエライ学者先生でも勘違いしています。OED(Oxford English Dictionary)には炭酸カリウム飽和水溶液の古い言い方だとちゃんと書いてあります。もちろんと言ってはナンですが、ナンチャッテ訳本にはとんでもないファンタジー訳が展開されています。

次にcatlineに付けた注釈。こんな内容の注釈を付けました。

Venice Catlineは二重撚りだが、catline ということば自体はガット弦という意味で「二重撚りガット弦」を意味するのではない。

ヴェニスから出荷されるVenice Catline=二重撚りガット弦、catline=ガット弦です。でも二重撚りのガット弦=キャットラインというのがどうも日本のアマチュアリュート界では常識?になっているようです。誰がいったか知らないが、言われてみればタシカニ・・・というのとはちょっと違いますが、これの発信元はどなたなんでしょうね。

ちなみに日本語表記もキャットリンの方がよろしいです。catlineの-lineは「線」とか「ひも」という意味の接尾辞ではなく、名詞につけて小さくて愛らしいものを意味するようにする働きがあります。女の人の名前でEvelynとかKailynというのがありますが、かわいい系の名前です。ですからcatline (catlin, catling)「子猫ちゃん」というような意味になります。(上述のようにガット弦という意味もあります)そういえばバーゼルの声楽の先生でEvelynという先生がいましたねぇ。何度かテナーの人と一緒にレッスンを受けたことがありますがとてもチャーミングな方でしたよ。