院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

台湾小紀行(生活篇)

2013-05-09 01:27:55 | 文化
 日本人の海外旅行は名所旧跡を見て回る時期は終わって、その国の庶民の暮らしぶりや生活空間を見に行く段階に入っている。

 今回の台湾旅行で、私は台湾のそのような部分を見ようとした。だが、ガイドが付いていない旅行ではなかなか難しい面があった。

 台湾の庶民がどんな家に住んでいるのか、一見しただけでは分からなかった。とにかく平屋の一戸建てが少なかった。目立ったのはビルと長屋だった。ビルは相当古く、それが土地代が高くないと思われる場所に建っている。

 つまり平屋でも十分建てられるような辺鄙なところにビルがある。これらはマンションなのだろうか?庶民はこのような建物に住んでいるのだろうか?教えてくれる人がおらず、想像するしかなかった。

 台湾に農業地帯はあるのだろうか?私が鉄道やバスで通過した範囲には、広い畑がなかった。あっても、個人が自家用に使用する程度の小規模なものだった。

 中国大陸はタバコ天国だったが、台北ではタバコを吸っている人が少なかった。2009年に禁煙法が施行されて、室内での喫煙が禁止されたという。だが、家の中はプライベート空間である。そこでの喫煙にまでお上が指図できるものだろうか?

 ホテルやレストランは禁煙だった。そのかわり、入り口の前に灰皿が置いてある。そこは外だから喫煙はOKである。灰皿がないところでも、自家用灰皿をもって外で立って吸うならよいのだそうだ。ただし、そのまま歩いてはいけない。それは歩きタバコと見なされて1800円の過料をとられる。

 しかしながら、こうした法律は大都市でしか通用せず、台北以外の地域では歩きタバコやポイ捨てをよく見かけた。吸い殻を掃いている掃除の人がいた。日本で昔見た光景である。

 交差点で、信号で止まっている車に近づいて花を売っているお婆さんがいた。ぜんぜん売れていないように見えた。お婆さんは夜明け前にそのような商売をして、夜が明けたらいなくなってしまった。街での物売りは非合法なのだろうか?昼間に物売りを見かけることがなかった。

 台湾ではかなりの田舎にもコンビニがあった。セブンイレブンやファミリーマートである。そこでは、なんとおでんが売られていた。ただし、おでん単体ではなく、カップ麺のような麺が混じっていた。とてもおいしい。日本のインスタントラーメンが東南アジアで大人気だというが、うなづける。

 コンビニにせよレストランにせよ、客が入る施設は必ず冷房が利いていた。亜熱帯ゆえ、冷房は客への最低限のサービスなのだろう。列車もバスも冷房がないものはなかった。もちろんタクシーも冷房完備だった。日本の場合、台湾程度の発展段階の時代には車内冷房はまだなかった。

 街には音楽が少なかった。うるさくなくてよいと思った。だが、観光地やタクシーの車内では音楽が流れていた。楽曲は昔の日本の歌謡曲が目立った。春日八郎、都はるみ、加山雄三らのヒット曲を、台湾の歌手や楽団が演奏したものだった。レパートリーの古さに微笑した。

 観光地の屋台の食べ物は腹を壊すとイヤなので食べなかったが、台北で蜜豆のようなデザートがヒットしているというので行ってみた。夜9時過ぎだというのに、その店は道路まで若者でごったがえしていた。デザートには小豆のような豆と、寒天の代わりに白玉というかタピオカのようなものが入っていた。リンゴジュース程度の甘さで、蜜豆のようにこってりとした甘さではなかった。

 台湾の新高山は富士山よりも高い。もっと山深い田舎に行けば、私が3泊で見たものよりも、ずっと古い台湾の文化が見られたことだろう。そのような場所に行くには3泊では足りない。だが、もっと長く滞在したとしても、田舎には宿がないだろう。日本の旅行番組で台湾の田舎を取材したレポートを見かけないのは、主にそのような理由からではないだろうか?