院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

「合歓の郷」の音楽

2013-05-10 00:10:39 | 音楽
 タダ券をもらったので逸見マリさんのディナーショウに行ったことがある。大ヒットした「やめて~」を、出し惜しみせずに最初に歌ったのは好感が持てた。

 5,6名からなるバックバンドを連れてきていたが、どこで拾ってきたのだろうか、その下手さに驚いた。学生バンド以下だった。

 ライブハウスに何度も行ったが、飲食が主で演奏が従なためか、上手いバンドがいない。どこを捜しても二流ばかりなのだ。

 名前が通った演奏家は上手いが、飲食しながらは聴けない。無名でも上手い演奏者がいるはずだ。

 捜しに捜してやっと見つけたのが鳥羽の「合歓の郷」だった。「合歓の郷」は100万坪の敷地に、レストランやクラブやホテルがある総合レジャー施設である。バブル期より前にヤマハが始めた他に類を見ない豪華施設だ。(その後、三井不動産に買収された。)

 ヤマハの伝説の社長、川上源一の声掛けで鳥羽の「合歓の郷」と静岡の「つま恋」が造られた。当時は誰が使用するのか疑問を覚えるような贅沢な施設で、利用料はものすごく高かった。

 正会員になるには昭和50年代で、200万円の入会金が必要だった。会員になれるのは、よほどの金持ちだった。(現在の制度や金額は知らない。)

 「合歓の郷」に一度は行ってみようと、個人の資格で行ったことがある。(会員でなくても、それなりの金額を支払えば利用することができた。)

 値段が高いし広いから、混んでいない。サービスは一流だった。

 そこでバンドの話に戻るが、敷地内に数か所ある飲食ができるクラブにはバンドが出ていた。そのバンドが、驚くほど上手いのである。

 演奏者は無名である。それでいて高い技術と芸術性をもっていた。コマーシャリズムに乗らず、ビッグネームではなくとも上手い演奏者はこんなところにいたのだと目を開かせられた。さすがに音楽のヤマハの経営だと感心した。

 著名な演奏者なら大ホールに聴衆を集めてコンサートを開くことができる。しかし、私が求めていたのは大ホールではなく、小さなクラブで一流の演奏を聴くことだった。「合歓の郷」は見事にそれを実現してくれた。

 そのときに私が学んだのは、「相応のお金を出さなくては、いい演奏は聴けない」という当たり前のことだった。