院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

厚生年金と共済年金

2013-05-26 00:45:46 | 経済
 昔、フランスのトラック運転手の組合がストを打ったことがあった。定年が50歳から55歳に延長されることに反対したのだ。トラック運転手たちは50歳で引退して、あとは悠々自適に暮らすことを望んでいた。そこに定年延長と来たから怒った。

 日本の勤労者は逆に定年延長を望んでいる。定年後の生活保障が十分ではないからだ。それでも定年制自体には反対していない。定年制があるのは先進国では少数派だ。少なくともアメリカには定年制がない。

 日本で定年制がまかりとおっているのは、歴史的に役人(公務員)には恩給というものがあって、優遇されていたからではないか?恩給は年金と違って、退職後も給料が出るような仕組みである。役人は定年退職しても左うちわだった。

 現在、恩給はなくなったが、それを引き継いだのが共済年金である。共済年金は厚生年金に比べてかなり有利である。

 日本中にグリーンピアという豪華な保養所がたくさん建てられたことがあった。年金生活者のレジャー用という名目だった。しかし、役人が作ったレジャー施設なぞ儲かるはずもなかった。つぎつぎに経営危機に見舞われて、二束三文で民間に払い下げられたが、それでも買い手がつかない施設もあった。

 役人がグリーンピアを建てた資金は厚生年金基金から出された。分かりにくいだろうから説明すると、役人が加入しているのは共済年金であって、厚生年金ではない。だから厚生年金が潰れようがなんだろうが役人には痛くも痒くもない。グリーンピアはその厚生年金基金によって作られ、役人は自ら加入する共済年金からは一文も出させなかった。厚生年金危機の原因の一端はここにある。これは国民の多くが知らないことである。

 役人が自らの利益のために守った共済年金を、私はもうじき貰うことになる。私の「公務員医者」としてのキャリアが長かったからである。私は共済年金が有利だと知っていて「公務員医者」をやっていたのではない。偶然にそうなっただけだと弁明しておきたい。

 (昔、医者の人事権は教授にあった。臨床研修医制度ができてからは教授は人事権を失った。臨床研修医制度を作って、教授から人事権をはく奪したのは役人であるが、それについてはまた別の機会に。)

 (国民年金は厚生年金よりもさらに不利で、気の毒なほどである。多くの人が言っているが、国民年金は破たんするだろう。掛け金を支払うより貯蓄した方が安全だからである。)