院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

人気の謎・パンダとトキ

2013-05-30 05:09:42 | 環境
 動物園におけるパンダの人気は周知のとおりである。上野動物園を初め、パンダがいる動物園は人気が高く、それにちなんで「人寄せパンダ」なる新造語ができたほどである。

 日中国交正常化(1972年)の象徴として、一つがいのパンダが中国から贈られてから、パンダ人気に火がついた。日中双方とも相手国への訪問が激増した。中国の使団節が頻繁に日本を訪れた。私がいた大学病院にも中国の使節団が見学に来た。

 日本からも中国へ行く人たちが激増した。個人の中国旅行が大流行となった。日本からの訪問者は「熱烈歓迎」された。現在の日中間の関係の冷え込みから見ると、隔世の感がある。

 パンダ人気が沸騰したのは、黒柳徹子さんがあらかじめパンダを日本に紹介していたからだという説があるが、それはどうだろうか?黒柳さんが紹介する前、すなわち私の高校生時代に、東京にはすでに「パンダパン」という製パン会社があって、その会社のロゴマークはパンダの顔だった。

 こうした歴史はあったにせよ、30年以上たった現在、未だにパンダの人気が衰えない理由が、私には分からない。外国人の知人も、日本ではパンダばかりがなぜもてるのかと不思議がっていた。

 希少動物の輸出入がワシントン条約で禁止されてからは、中国からのパンダは贈与ではなく貸与になった。そのレンタル料が年5000万円である。すでにパンダは友好の証しではなく商売になっている。(中国政府自身が儲けているのかどうか分からないが、誰かがパンダをビジネスに使っているはずである。)

 一方、佐渡のトキだが、佐渡トキ保護センターなるものを(人件費も含めればたぶん何億円もかけて)造り、最後の一つがいをに交配させようと血道をあげていた理由が分からない。その試みはけっきょく失敗したが、鳥の専門家にはそれらのトキがすでに交配不能の老鳥であることは分かっていたはずだ。

 佐渡トキ保護センターの「努力」が失敗に終わってから、1999年、江沢民によって中国産のトキのつがいが日本に贈られた。トキは中国でも激減していたから、日本はありがたがった。私は中国のトキと日本のトキは、別物なのではないかと当時思い、別の品種を贈られても意味ないじゃないかと考えた。その後、ミトコンドリアDNAの検査から、遺伝的には同等だと証明されたという。(しかしながら、このデータがねつ造でないとは、まだ言い切れない。)

 現在では、それらの二世が孵化して、野生に返す試みが行われている。ここでもまた、どうしてそこまで税金をつぎ込むのだろうか?と疑問に思う。中国からの善意で貰った生物だから、外交的におろそかにできないと言うのだろうか?