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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

聖水くれ!

2008年02月20日 | バリ
 バリの宗教は別名「水の宗教」である。とにかく「聖水」がないと「浄化」されないのである。そのため、僧侶と名のつく者はマントラ、花、線香を用いて聖水を準備する。ちょっとした浄めであれば、ペットボトルの水(アクア)でもかまわない。とにかく「水」がないとだめなのである。
 1週間前、ある儀礼に参加した。この儀礼にはプダンダとよばれる高僧が一段高い場所に座り、高僧が聖水を準備して、穢れた人々を浄めて儀礼は終了したのだが、ここからが聖水獲得デッドヒートの開始である。
 要するにプダンダの用意した残りの聖水の「おこぼれ」にあやかるためにプダンダの周りに儀礼の参加者が殺到するのである。当然、残りは少ないためにわれ先にと高僧プダンダの周りに殺到し、一滴でも聖水をもらおうと手を伸ばす。だからといって、バーゲンセールのワゴンに人の隙間から手を伸ばしてとにかく何かを毟り取る、といったような「粗野な」行為をすることは厳禁である。なんといっても、プダンダは「神」なのだ。
 「おれにも、わたしにも聖水くれ!」そんな言葉が聞こえてきそうである。しかし、ぐっとこらえて、微笑みながら手を伸ばす。これが神の前での礼儀である。