Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

封を切ること

2008年02月28日 | 家・わたくしごと
 新しく買ったものの封を切る、というのはたいていドキドキするものである。たとえば、海外から通販で購入して、待ちに待っていたCDが届いた時。CDを誰の息にも触れさせないようにしているがごとく密封されたビニールをはずすだけでも胸が高鳴り、このCDの1曲目を聴くときなどは、胸が張り裂けそうにドキドキするものである。
 そんな「封を切る」品物があることを、かみさんから昨晩知らされた。なんとイノダコーヒーで買った密封されたレギュラーコーヒーである。その存在を知っただけで結構、胸が高鳴った。コーヒーというのは、その密封状態から放たれた瞬間、待ってました!といわんばかりに、その香しきローストされたコーヒー豆の香りを一気に放出するからである。その香りのすばらしいことといったら、もうどの香りにも匹敵しないくらい感動的なものだ。とにかく私は今朝、その封を切るのを楽しみにしていたのだ。
 さて朝になって「ねえ。イノダコーヒーどこある?」とかみさんに聞くと、「まだ、前のものが残っているから、それ飲んでから新しいコーヒーを使ってね。」と言われる。そんなことは百も承知である。とにかく私はイノダコーヒーの封が切りたいだけである。「そのコーヒーはどこにあるの?」ときくと、「台所にあるでしょう?」と答えが返ってきた。
 台所を見ようと振り返ったその瞬間、私は「大ショック」、「超ショック」を受けたのだ!なんとかみさんが封を切ってしまっているのである。昨日まで、密封されて堅くなっていたコーヒーが、今ではもう粉になっている・・・。私の今朝の楽しみがかみさんにあっけなく奪われたのだ!といっても、「後のまつり」である。しかたないので、しばらくそのビニールに鼻をつっこんでクンクン香りをかいでいたが、なんだかビニール袋に鼻先をつっこんで、はずれなくなったアライグマを想像して、空しくなり、そっとコーヒーを机の上に置いた。たぶん、かみさんはきわめて機械的に、つまりはマヨネーズの封を切るようにコーヒーを開けたんだろうと思うとちょっと寂しかった。いやいや、ちょっと待てよ。そうではないかもしれないぞ。もしや、かみさんもまた「コーヒーの袋を開けた瞬間の香りフェチ」なのでは?となると、今回は時間差で私の敗北である。