Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

お好み焼き

2008年05月02日 | 
 大阪の観光ガイドというのは、とにかく「食べ物」で満載である。正直なところガイドを見る限り、大阪城以外の名所はないのではなかろうか、というほどの勢いである。しかもその食べ物は寿司とかフレンチではなく、とにかくB級グルメ満載なのである。
 「お好み焼き」というのもその代表的な食べ物の一つ。店屋でお好み焼きを食べた経験のほとんどない息子にとって、お好み焼きは「大阪の代表」であり、何がなんでも食べなくてはならない食べ物なのだ。親はその期待にこたえなくてはならない義務がある。
 大阪での大学院時代、いつも行列がたえなかったと記憶する千日前のお好み焼き屋に入る。実は私自身、大阪で一枚700円以上もするお好み焼きを食べるのは初めてで、常に「貧坊ちゃま」の私は、たいていキャベツ焼き110円(以前は100円だった)かイカ焼き100円で大満足だった。
 息子と向かい合って、お好み焼きを作る。「自分で作るの?」と不思議そうな顔をする息子の前で、鉄板に具を広げてキツネ色になるのを待つ。なんだか不思議な光景である。息子と二人、個室の鉄板の上で焼かれるお好み焼きを黙って見つめている。何をしゃべっていいのかわからなくなってしまう。まるで初めてのデートのようだ。
 「お父さん、もう裏にしていいんじゃない?」
 息子のやさしい笑顔を見て、我に帰る・・・。