Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

母の日に

2008年05月12日 | 家・わたくしごと
 昨日は母の日だった。夕方、東京の実家の母に電話をする。
「ぼくだけど。お母さん。今日は母の日だったけど、毎年、何にもしなくてごめんなさい。でも母の日はちゃんと覚えてるからさ。」
なんと都合のいい電話だろう。昨日、息子からカーネーションの花とペンケースをプレゼントされて喜ぶかみさんを見ているうちに、なんだか母親に電話をしたくなったのだ。
「私には、まだ母がいますからね。」と母は電話先で笑っている。実家の隣には、私の祖母にあたる母の親が90歳もとうに過ぎてもまだ元気で生活しているのである。でも、そんなことは私が母の日に何もしない理由にはならないにもかかわらず、そんな話を聞いているうちに少し安心する。
 もう10年近く前に亡くなった私のバリ島の師匠は、「寺院に行って祈れば、それでいいというものではない。行為が重要なのではなく、重要なのは信仰する心だ」といって、年に一度の寺院の儀礼に絶対に足を運ばなかった。村の寺院が家の隣であるにもかかわらず・・・。たぶん彼以外の村人は全員、儀礼に参加していたであろうに、彼はそうした行為を最後まで拒絶し続けた。
 そんな師の言葉を引き合いに出すのは禁じ手かもしれないが、私は今なお両親には心から感謝している。だから気持ちだけ受け取ってもらうことにしよう。花も物も、目にみえるものは何もないのだけれど。