Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

創作作品をつくる

2008年05月13日 | 大学
 1ヶほど前から琉球舞踊家とともにガムランを使った創作舞踊曲を数人のメンバーとともにつくり始めた。今回、私が大切にしたいと思っているのは、作曲当初から舞踊家とともに作品を創り上げていくプロセスである。どちらかが主導権をとるのではなく、音楽側と舞踊側が同時に意見を出し合って一つの作品を作るとどうなるのかに興味を持ったのだ。
 踊り手は基本的には踊りのことを考え、演奏者(作曲者)は音を考えるのは当たり前のことだが、曲を作る側は踊り手のさまざまな振りや所作を見ながら踊り手と議論が出来るし、踊り手も、演奏される旋律などに初めから意見を言うことができる。こうしていくと誰の作品かわからなくなると言えるかもしれないが、そもそもアジアのパフォーミングアーツにおける作品が個人によって作られるという考え方が近現代の所産なのではなかろうか?
 この踊りは、ブーゲンビリアの花をイメージした舞踊で、すでに花びらはできあがっている。バリの花撒き舞踊だとさまざまな色の花びらを用い、その花びらを入れる器もボコールとよばれる伝統的なものだが、こちらは籠。しかし新たな創作舞踊には、バリのパニャンブラマやガボールのような花を撒く舞踊のイメージも見え隠れする。
 バリのガムランや舞踊を沖縄で始めて9年。やっとこうして沖縄の芸能との距離を縮めることができるようになったのが嬉しい。しかし相互に相手の芸能をしっかり理解するには、このくらいの月日がかかるのかもしれない。「沖縄音階とインドネシアのペロッグ音階は似ているからすぐにコラボができる」などという発言は、単に表面をなぞった薄っぺらな音楽に満足する者の語りに過ぎない。異なる文化の音楽や芸能から一つの作品を作ろうとすることはそんなに生易しいことではない。