Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

オペラ鑑賞

2008年11月04日 | 那覇、沖縄
 久しぶりにオペラ「魔笛」の観劇。当たり前のことだが、オペラにとっては役者(歌い手)の技量は当然ながら、演出がきわめて重要である。今回の演出は首里城での上演を考えていた「沖縄」を意識したもので、うちなーぐち(沖縄方言)なども取り入れた演出である。オペラの上演を観ることの少ない沖縄の人々に受け入れられやすい演出であることはいうまでもない。また回りの観客の反応からも十分に感じられた。
 しかし一方で、舞台設定や言葉を沖縄にしたところで、音楽はモーツァルトによって書かれた五線譜通りに演奏され、ドイツ語で歌われる音楽なのであり、結果的には、舞台上で生じる異文化の衝突の現場に遭遇したという感想を持った観客もいるだろう。
 ある芸術作品に異文化要素を取り込むという演出や行為は簡単ではない。私自身も常にそうした取り組みに直面して頭を抱えるのである。ただ、私がこだわりたいと思うことは、表象される文化にこだわるよりもむしろ、「文化のもつ世界観」の表現である。表層だけ姿を変えたところで、それは18世紀のヨーロッパの人々の持った「オリエンタリズム」の延長線上に位置するだけであり、キリスト教的世界観の正当性をアジアをまといながら強調するに過ぎないからである。