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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

銀座三越――東京街歩き(5)

2008年11月28日 | 東京
 銀座四丁目交差点といえば、和光、鳩居堂、三越と思い浮かぶ。和光は敷居が高すぎて、ショーウィンドーから中を覗く店、鳩居堂は用がないから行かない。残る三越も、正直、お手洗いを借りるくらいでしか利用したことがない。とにかくどの店も交差点のシンボルであるが、私の人生とはあまり関係がない。
 銀座四丁目に立って、どこの写真を撮影しようかと考えた末、2回信号を待って撮ったのは三越だった。地味な和光に比べれば、やはりデパートはきらびやかで、それに入り口で待ち合わす人も多く賑やか。田舎から出てきたばかりの私は、やはりその喧騒や明るさに目が引き付けられてしまうのだろう。
 ちなみに沖縄にも三越は存在する。国際通りの真ん中に立っており、向かいは市場へ続く小さな通りである。雰囲気的には築地の場外市場の前に三越が立っていると想像すればいい。といってもその三越は、銀座や日本橋の三越とは「格」が違う。規模は当然ながら、高級志向のスーパーといった雰囲気で、年に2,3回、国際通りに出向いたついでに催事場で行われる物産展に足を運ぶくらいで、賑やかさや喧騒からはほど遠く、どちらかといえば静かで、寂しい雰囲気がある。真夏の国際通りを歩いて沖縄のみやげ物に疲れた観光客の癒しの場としては、売っている品物の種類も、室内の温度も最適かもしれない。
 銀座に長く勤め、デパート好きなかみさんは、沖縄に最初に来てこの三越をチェックしたとき、「これはデパートではない」と明るく言い放った。沖縄三越は、三越グループの直営百貨店ではないし、沖縄という事情からもそれぞれ経営ポリシーがあるので東京的なデパート観を押し付けて語るのは正統な評価ではない。しかし私も同様に、「三越」のイメージは、たとえお手洗いくらいしか借りたことがないにしても、銀座や日本橋の三越がそのイメージとして脳裏に焼きついているわけで、それが払拭できないがため、現在でもきわめて個人的ではあるが、家庭内では沖縄の三越を、折に触れ「みつごえ」と呼んで区別するようにしているのである。