Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

東京の冬化粧

2008年11月12日 | 東京
 冬化粧というと、ふつうは雪に覆われた情景を思い出すのだろう。しかしこの時期、東京に来て思うことは、地球温暖化が進んで、雪が街を覆うことがすくなくなった東京の冬化粧とは、雪のかわりに白や青のイルミネーションに覆われた街のことなのではなかろうかと思うようになった。白や青は、雪の代用なのだ。
 仕事に行く合間、そんな街を少し歩いてみた。白色ネオンの合間にはビルの色とりどりのネオンがのぞく。人工的であるにせよ、確かに「美しい」と思う。しかし私にはそれ以上の感慨はない。目には訴えても心に響かない美しさ。それが「電気」であることではなく、「美しい」と思われるようにつくられたイルミネーションだからだ。雪という自然の力は、誰にもコントロールできない。だからこそ、その風景は目にも心にも美しくも感じるのだと思う。
 たまに沖縄から東京にやってくる東京育ちの私は、どちらかといえば、無秩序に建てられたビルの看板の色とりどりのネオンサインの方に心を打たれる。そんな光は、東京の街そのものであり、そしてその無秩序さこそが、東京の歴史そのものだからだ。
 文化が変化していくように、街も生まれ変わっていく。都市計画という政策の中で、「無秩序」から「秩序」が生まれ、それこそが「美」であるという観念を創出し、若者たちがその「美」を楽しむために秩序化された場へと集う。しかし、東京の無秩序の光は、もう彼らの心に響く「美」ではなくなっている。