Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

実家から

2008年11月16日 | 家・わたくしごと
 沖縄に下宿している学生が、「荷物が実家から送られてきた」と喜んでいることがある。親が故郷の食べ物や自分では買えないような少し高めの食品を送ってくれるらしい。箱をあけると、きっと実家の香りがほのかに漂うのであろうし、なによりも味の懐かしさに加え、故郷をも思い出すことだろう。
 先日、東京の実家に戻ったとき、私は自分の荷物をダンボールに入れて、最後の梱包と業者への連絡だけを両親に頼んで家を出た。そんな荷物が昨日届いた。開いてみると、中には自分が送った荷物と一緒に、母が近所の洋菓子店で買ってくれたお菓子が入っていた。
 この洋菓子店は子どもの頃から、記念日ごとにケーキを買った店。たぶん私が幼稚園か小学生低学年の頃から続いていて、前を通ると甘い香りが漂い、甘いもの好きの私にとっては、ある種「憧れ」の店だった。母が送ってくれたお菓子は、昔からあったお菓子ではないし、私がよく食べていたものではない。どちらかといえば、ここ10年くらいで開発されたものだろう。そういう意味で、このお菓子の味そのものには懐かしさを感じるものではない。
 しかし私にとって重要なのは、実家の近所の洋菓子店の菓子が送られてきたことである。おいしいお菓子は星の数ほどあるだろう。しかし何よりも、このお菓子は子どもの頃から見つめ続けた洋菓子店のものだ。沖縄にいるからだろうか、そんなお菓子を眺めるだけで、あの頃の自分をいろいろと回想できる。そのせいだろうか、故郷から荷物が送られてきた大学生の気持ちが少し理解できた気がした。