社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

ホスピスケアにおけるソーシャルワーカーの存在価値と役割 関根真希子(2001)

2008-09-02 18:13:22 | 社会福祉学
『医療社会福祉研究』Vol.10 No.1 2001.12

主に、聖クリストファーズ・ホスピス(イギリス?)でのインタビュー調査や、著者自身の実践を踏まえて論じている。
ホスピスケアの先駆的な存在である、聖クリストファーズ・ホスピスでの実践内容が詳細に紹介されており、ある意味「理想的なもの」は何か?が分かる。そこでのソーシャルワーカーの立場、役割も明確に存在しており、学ぶべきことが多い。
ホスピスケアの理念や価値、目的や展開方法は、ソーシャルワークの定義や価値、援助の原則と多くの点で共通点を持っていると指摘。ソーシャルワーカーの定義や倫理綱領と照合し、立証している。

引用
①病院治療が患者の退院(=死)によって完結するのに対し、患者亡き後も家族が自立して生活できるようになるまで援助が続けられる。このことは、ホスピスケアの大きな特徴である。
②(聖クリストファーズ・ホスピスでは)家族や遺族へのケアやサービスは、ソーシャルワーカーが中心となって行っている。ソーシャルワーカーは、患者や家族/遺族の住む地域を念頭に入れ、彼らが地域の一員として快適に過ごせるようにあらゆる援助を行っている。
③全人的視野に立ち、生活の場を基本とし、地域の中で患者を家族から切り離さず、家庭の延長としてケアを行う場合、ソーシャルワーカーの役割は、非常に重要となる。


7年前の論文であるが、未だに真新しさというか…「こうであって欲しい」と感じてしまうのは、ホスピスケアでのソーシャルワーカーの実践が十分に浸透してない表れであろうか。

引用について…地域であってこそ、ホスピスケアだからこそ、ソーシャルワーカーの存在価値があることを、痛いほど感じた。しかし私自身の実践では、そこまで深くは介入できていなかったのが現状であった。自分自身の技術面が大きな理由であるが、その技術をいかに習得し、実践に結び付けていくかという教育が、ここ数年でようやく始まったということも一つであると思う。
ソーシャルワーカーは自身の専門性を現場に浸透させ、存在価値をいかに植えつけていくかが、いつの時代も「使命」になっていると思う。在宅でのホスピスケアも、例外ではない。
コメント
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