社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

患者・家族と医療者の溝にあるもの、その越え方 林里都子(2008)

2008-09-01 22:15:46 | その他
『緩和ケア Vol.18 No.1 JAN.2008』

福井県内の病院で実践されている、医療メディエーションの紹介。
メディエーションとは、「対立する2人以上の当事者がいる場合に、中立者(GRM)としてのメディエーターが当事者を援助しエンパワーすることで話し合いを促進し合意形成、葛藤の乗り越えへと至らせる仕組み」。

これまで「苦情」「クレーム」として扱われていた事案について、現場で直接クレームを受けた者では解決できなかった事案について、GRMに依頼が入り、当事者同士の面接のコーディネートをするとのこと。

「クレーム」とされてきたもののなかでは、実際の面接をしていく中で、互いの考え方や感じ方の隔たり、食い違いが根本にあり、「言った、言わない」を放置した結果、「クレーム」として患者側に根強く残ってしまったものもあったとのこと。
このような「溝」を超えるには、「きちんと向き合う」「話をする・話を聴く」ことがポイントである…と指摘している。


追記
医療メディエーターとは「医療対話促進者」とも訳される。医療機関従事者を対象とした研修を受け、認定を受ければその職に就けるようだ。
この論文の著者である林さんは、看護職出身の様子。

 医療の領域に、また新しい職種が参入していることに驚いた。医療メディエーターの面接に際しての姿勢や、医療者と患者との間の「立ち位置」について読むと、それはソーシャルワーカーととても近い印象を受けた。
しかし医療メディエーターは、最終的に訴訟につながる可能性があるという事案にも対処しており、「院内の危機管理」に大きな役割を果たしているようだ。
様々な職種が存在しているからこそ、自身の専門性をきちんと認識しなければ、生き抜けないかもしれない
コメント
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