大都市に住む高齢者の見守られ意向と見守られたい相手の関連要因について、質問紙調査を実施し、明らかにしている。
調査結果が分かりやすく分析されており、専門職でなくとも読みやすく、理解しやすい。
引用
・見守られたい相手は複数回答で、「近隣住民」が179 人(50.0%)、「町内会やボランティア」が 140 人( 39.1% )、「介 護や保健医療の専門
職」 が 200 人(55.9%)、「生活支援サービス」が 24 人(6.7%)、「機器によるシステム」が 81 人(22.6%)であった。
・本研究において、74.0%の高齢者が現在もしくは将来、または時期はわからないが見守りを受けたいと考えていた。特に一人暮らしの人が見守
りを受けたいと思っていた。
・本研究において、見守られたくない人も 26.0%いた。見守りを受けたくない人は同じ町内の人との交流が少なく、他者から干渉されることを心
配に思っていた。
・高齢者が見守りを希望する相手は、近隣住民および町内会やボランティアの地域住民、生活支援サービスや機器によるシステム等の民間企業、
介護や保健医療の専門職の大きく 3 つに傾向が分かれた。
・地域住民に見守られたい人は、安心感の獲得と他者とのつながりを期待していた。また地域住民から見守られたい人は、自身のことを気にかけ
てもらうために意図的に外出していた。
見守り体制が整備され、早期発見が実現できた後でも課題はある。
先日、体験した事例である。集合住宅に備えつけてある緊急コールに、「トイレの便座から立ち上がれない」と本人から発報があり、救急隊と住
宅管理センターの職員が駆け付けた。数時間座りこんでおり脱水症状が疑われたが、「もう大丈夫。病院には行かない」という強い意思を受け、
遠方に住む家族と管轄の地域包括支援センターに電話で状況説明をし、解散となった。しかしその後も室内で転倒をしていたが、その時は緊急
コールボタンが手元になく、以降2日間今度は台所で転倒したままの状態であった。「早期発見」はできたが、その後の安否確認が十分にできて
いなったが為に起こしてしまった事態である。
本人の意思は尊重されるべきものではあるが、体調が万全ではない高齢者に対しては、強制的な救急搬送も時には必要であり、それを拒んだ場合
は、少なくともその後24時間は二度三度の安否確認が必要である。それをどのタイミングで、誰が行うのか、その場を離れる時に計画をし、共有
するべきであった。点と点の支援ではなく、線での繋がりを作らない限り、見守り体制は効果を発揮しないと大いに反省をしている。
見守り体制を望む住民に対し、専門家はどのように応えていくべきか。本論文を読み今一度、考えさせられた。
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