どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

“かえる”も主人公

2014年04月01日 | 昔話(外国)
 魔女の呪いなどで、かえるに変えられた主人公がでてくる物語。

 グリムの「カエルの王さま」(グリム童話集 上、下/佐々木田鶴子 訳/岩波少年文庫/2007年初版)
を聞いたとき、かえるが壁にたたきつけられると、王子に変身する話を聞いてびっくりしたが、おなじグリムの「三枚の羽」は、三人の王子のうち、美しい娘をつれてかえったものに国の跡継ぎにするという王さまの言葉で、つれかえったかえるが、美しい娘にかわるという内容。しかし、この話では、とくに魔法をかけられてはいない。

 たたきつけるより、残酷なのが首をはねるというのがでてくるイギリスの「世界の果ての井戸」(世界の果ての井戸/子どもに語るイギリスの昔話/松岡 享子 編・訳/こぐま社/2010年初版)。

 かえるの首を切り落とすと、王子に変身するどんでんがえし。どきどきさせて、ほっとさせる

 一方、フランスの「プチジャンとかえる」(なぞとき名人のお姫さま フランスの昔話/山口 智子 編・訳/福音館書店/1995年初版)では、お姫さまが、妖精のまじないで、かえるに変えられますが、別の国の王子の知恵袋になって、王子の父が出す難問を次々に解決するという話。

 最後に美しい人をつれてきたものに王位をゆずるという王さまの課題に、美しく変身したお姫さまと王子がめでたく結ばれます。

 この話が印象に残ったのは、三人の王子がでてきて、長男が活躍するところ。
 一番末が主役になる昔話が多い中で、長男というのは珍しい。

 また、この話では、かえるを見捨てて、あらわれた娘を連れて帰る場面がある。

 実はこの娘はかえるが変身したものだが。男の身勝手さを皮肉っているようで、笑いをさそうところ。

 かえるに変身する(される)、首を切るというものは、日本のものではあまり読んだことがないが、この違いはどこからくるのかも興味がわく。