じゆうをめざして/シェーン・W・エヴァンズ・作 さくまゆみこ・訳/ほるぷ出版/2012年初版
奴隷制度は、はるか昔のようにおもえますが、アメリカの奴隷制度が廃止されたのは150年前。
制度的には廃止されたにもかかわらず、その後もさまざまに差別され続けてきた黒人。
この絵本は、恐怖におそわれながらも、暗闇のなかを走って、走って、走って、ときには、はってすすむ人たちが暗い色調で描かれています。
逃げ延びた人々が描かれたページは、明るい色調で、自由を実感させます。
当時、「自由への地下鉄道」と呼ばれる人々のネットワークがあって、逃亡する奴隷たちを、かくまったり、助けてくれたりする人もいたというのをはじめて知りました。
短い文章で、読み解くには、奴隷制についての理解が不可欠で、少し難しいこともありそうです。
アフリカ大陸から連れ去られた奴隷が、船内にぎっしり詰め込まれれ、新大陸に着くまでに多数の犠牲者があったことも忘れてはならないことです。
裏表紙には、うまれたばかりの赤ん坊をのぞきこむ大人たちの姿が描かれて印象に残りました。