どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

妖精の騎士タム・リン・・スコットランド

2017年11月01日 | 絵本(昔話・外国)


     妖精の騎士 タム・リン/スーザン・クーパー・再話 ウォリック・ハットン・絵 もりおかみち・訳/小学館/2005年



 スコットランドの王女マーガレットは、毎日朝から晩まで、お城の塔のてっぺんの部屋で、刺繍をしたりしていて、どこかの王子が結婚を申し込みにくるのを待つ日々。

 しかし、マーガレットは、こんな生活がきらいで、お城の外に行って、思いきり走ったり大きな声で笑ったり、わくわくするような冒険がしてみたかったのです。

 ある日マーガレットは、お城をとびだして、カータヘイジの森に、バラの花を摘みにでかけます。

 カーターヘイズの森には、妖精の騎士タム・リンがあらわれて、入った者に呪いをかけ二度とでられないようにしてしまうと、だれもが知っていました。

 そこであったのは、金色の巻き毛が風にゆれ、日に焼けた肌も金色にかがやく美しい若者。
 日が暮れて、城に帰ってみると、一週間もたっていました。

 もう一度カータヘイジの森にでかけたマーガレットは、若者の正体を知ることになります。

 若者は妖精の騎士タム・リンで、三歳のとき妖精の女王にさらわれ、地獄の悪魔に引き渡されることになっていました。

 妖精の国から逃げ出すには、愛してくれる娘があることをしてくれたら、逃げ出せるというのです。
 あることとは、夏至まつりの夜、妖精族の騎馬行進で、炎の息をはく白い馬が通ったら、その馬の騎士の
手袋をはめていない手をしっかりつかみ、最後に手につかんでいるものを”聖なる井戸”に投げ込むというものでした。

 夏至まつりに”聖なる井戸”のそばでまつマーガレットの前に妖精の騎馬行進がやってきます。
 
 炎の息をはく白い馬の騎士の手をつかむと、オオカミが襲い掛かり、オオカミが消えると今度は大ヘビ、さらに雄鹿、最後には燃える鉄。
 熱さにたえ、燃えさかる鉄を力いっぱい”聖なる井戸”に投げ込むと・・・。

王女マーガレットとタム・リンが、そこらへんに普通にいる女の子と若者に描かれているのは、意識してそうしたのでしょうか。やや物足りません。

 文はかなり長くなっています。

 妖精の行進の模様はあまり描かれていませんが、銀色の鳥、夢のようにきらびやかな貴婦人、影のように空をすすむ行進です。