祭りの晩/宮沢賢治 たなかよしかず・絵/未知谷/2004年初版
山の神の秋の祭りの晩、亮二は十五銭もらってお旅屋(というのはなにかよくわかりませんでした)にでかけました。
銭は戻りでいいからという客引きの声でおもわず見世物小屋に入った亮二でしたが、空気獣にうさんくささをかんじ、外に出ると顔の骨ばって赤い男にであいます。
二人とも十銭を払って外に出ますが、その男の姿はすぐにみえなくなってしまいます。
次に男にあったのは掛茶屋でした。見世物小屋で銭をつかってしまい「銭なしで何して団子食った」と どなられていたのです。
男は薪百把もってくるからというのですが、掛茶屋の主人は二串と勘違いし、ますます怒ります。
みるに見かねた亮二が、ぶん殴られそうになった男の草履をはいた大きい足の上に、たった一枚残った白銅を 黙っておきました。
銭を主人の前にぱちっとおくと、男は風のように逃げ出してしまいました。
亮二が、祭りであった男のことをお爺さんに話すと、「そいつは山男だ」と話してくれました。お爺さんも霧の深いとき、山であったといいます。
急にどしんがらがらという大きな音がして、急いでラムプをもって外に出てみると、家の前には太い薪が山のようになげだされ、おまけに栗の実もありました。
お爺さんは、こんなにもらうわけにはいかない、こんど山に行ったら何かおいて来ようといいました。
挿絵は鉛筆画のようで白黒。この物語にはぴったりしています。
亮二のやさしさと、お爺さんの蕭々とした雰囲気も伝わってきます。