どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ふくろうくん

2020年04月02日 | 絵本(外国)

    ふくろうくん/アーノルド・ローベル・作 三木卓・訳/文化出版局/1987年

 

 ふくろうくんの一人芝居?風の話が五つ。大人から見るとなんでこんなことに悩むのかとつっこみたくなるのですが、ふくろうくんが、まじめに悩む様子がほほえましい話ばかりです。

<おきゃくさま>

 ドアをたたく音が何回かして、ドアを開けてみると雪と寒さだけ。「かわいそうな 冬が げんかんたたいていたんだな。きっと だんろのそばに すわりたいんだ」と、ふくろうくんが、ドアをあけると、ふゆがあばれまわり、暖炉の火を消し、食べていた おまめのスープも こちんこちん。

 ふゆが でていくと「にどど もどってくるなよ!」と、ふくろうくん。

 そして 暖炉に火をおこし、スープも あたたかく。

 冬をお客さまにするなんて! ふくろうくん やさしいですね。

<こんもりおやま〉

 ベッドに入ったふくろうくんが眠ろうとした時、毛布の下にこんもりしたものを 見つけました。

 「このへんな こんもりくんは なんだろうな」「もし、ぼくが寝ているうちに、ふたつの こんもりくんが どんどん おおきくなっちゃったら どうだろう?」

 右足、左足をあげたり、さげたり。

 たんに、自分の足だったのですが・・・。

<なみだのおちゃ〉

 涙でお茶を入れることにしたふくろうくん。悲しかったことを次から次と考え、涙が少しづつゆわかしきに。悲しいこともいろいろです。

〈うえとした〉

 ふくろうくんの家は2階建て。1階と2階をつなぐ階段は20段。1階の茶の間にいる時は上が気になり、2階のベッドのいる部屋にいると、下が気になるので、何とかいっぺんに上と下にいられる方法はないかと考え、階段を大急ぎで上り下りしはじめるのですが、もちろん なんどやっても できません。

 ふくろうくん ごくろうさまの一言です。

 〈おつきさま〉

 ある晩、海辺に出かけたふくろうくんが 海の波を見ていると お月さまが 海の向こうから 顔をだしました。

 「ぼくが きみを みているんだから きみも ぼくを みなさいよ。おともだちにならなくちゃ ぼくたち」って言っても、返事はありません。

 でも、お月さまはふくろうくんと、ずっと一緒。

 ふくろうくんは、ついてきちゃだめだよとお月さまにいいますが、月が雲にかくれてしまうとしょんぼり。「ともだと さよならするのは いつでも ちょっぴり かなしいことだなあ」

 どこまでいっても、月が一緒という感覚は、確かに不思議といえば不思議です。

 

 いちどふれたことがありますが、おくさんも絵本をかかれています。アニタ・ローベルさんは1934年生まれ。1944年ナチスドイツに捕まえられ、強制収容所へ。奇跡的に助かり、アメリカへ渡り、アーノルド・ローベルと結婚しています。