宮城のむかし話/「宮城のむかし話」刊行委員会編/日本標準/1978年
助けた者から、助けてもらいメデタシになる昔話。
貧しい男が、いじめられていたサル、カメ、アブをたすけて、先に進んでいくと長者さまの門口に立て札。
「川こえて、杉の木のてっぺんで踊りこ おどったら、むすめのむこにする」という。
男もやってみることにして、着るもの、扇、鉢巻き用の手ぬぐいまで渡され川まで。ところが大きな川で流れも急。そこへカメがあらわれ、カメの背中に乗って向こう岸へ。
杉の木のところまでいってみると、高い高い木で、とても登れない。そこへサルがやってきて、男の持っていた着物を着て、扇を腰にさし、すいすいとのぼり 扇をかざして踊ります。
むこにするといったものの、長者の本心は別。そこで、おおぜいの娘をあつめ、このなかにいるむすめに盃をやるようにいい、まちがったら むこにしないと言い出します。男は見たこともない娘だから、どこにいるかわからない。ここでアブの出番。それでめでたく長者のむこに。
助け助けられるのが一度というのは、よくありますが、三度の繰り返しが続くのは日本には珍しい。ここにでてくる男は乞食とありますが、お金でサル、カメ、アブを助けています。いじめているのが”わらすたち”と、こどもですが、あくまで後半へのつなぎでしょうか。