宮城のむかし話/「宮城のむかし話」刊行委員会編/日本標準/1978年
ちょっと短い宮城の話。
・運はさずかりもの
産婆さまが、東の方の家の子には、青竹一本さずけ、西の方の家の子には48の蔵ばさずけ、めでてい、めでていと、かえっていきます。この産婆さんは山の神。
東の家の子が大きくなって、山で青竹一本を見つけ尺八をこしらえると、たんまげて音のいい尺八。この尺八を懸命にふいて、日本一の尺八の名人に。
西の家の子は、おおきくなっても、ごおろり ごおろり 寝てばかり。家を追い出され、あちこちを歩いて、のどかわいて沢で水を飲むと、それは酒で、この酒を売り歩いて大変な金持ちになって、48の蔵を建てて、幸せに暮らします。
運をさずけるが、あとは自分の力で実現しなさいということでしょうか。
・お年徳神さま
だれもが年をとらなかったら?
そのためにお年徳神さまがいらっしゃるのかな?
お年徳神さまがみんなの家をまわって年とりしていきます。
一軒の家を忘れて、年をとらそうとすると、家の中はがらんとして、だれもいません。
うらの口から外にでようとして、臼にひっかかると、うすがひっくりかえって中には人。
「こごも、年とらせる人いだ。」と、年とりたくない人も年をとらせたと。
だれもに平等におとずれるのが、年をとること。これからはだれも逃げれられません。