巨人グミヤー と 太陽と月/君島久子・文 小野かおる・絵/岩波書店/2000年
天地創造というと神話ですが、神話らしくない話です。
はるかむかし、天も地もなかったころ。神の巨人グミヤーが、大きなサイのようなけものの皮から天を作り、肉で血を、骨や岩で石を、血で水を、毛で木や草花もつくります。さいごに脳みそで、人間をつくりあげます。
天は、ふわりと空中にうかびますが、支えるものがありません。そこでグミヤーは、サイの足で、東西南北に柱をたてます。そして、地面の下は、大きなウミガメがささえます。
大昔の人間は、天をささえる柱があり、地面は何かが支えていると想像していました。
空では小鳥がさえずり、水のなかでは魚が泳ぎ、人びとはのどかに、くらします。
これをみてねたましくおもっていた太陽の9人姉妹と月の10人兄弟が、燃えるような光をあびせかけたからたまりません。地上のものがすっかりやきほろぼされそうになりました。
グミヤーが大きな矢で、太陽と月を射落としますが、ひとつの太陽と、一つの月が残りました。グミヤーも流石に疲れ、逃げていく月に矢を放ちますが、矢は月のからだすれすれにかかすめただけでした。このとき月が冷や汗をかき、ぎらぎら燃えることができなくなりました。
危ないところを逃げのびた太陽と月は、グミヤーの矢が届かないところに、こっそりと隠れました。世界は真っ暗になり、急に寒くなってしまいます。
ツバメが太陽と月の隠れ家を探しあて、ホタル、オンドリ、イノシシと隠れ家にいき、あの手この手で、昼と夜に空をてらしてくれるように頼み込みますが、岩はびくともしません。けれどもイノシシがものすごいいきおいで、岩に体当たりすると・・・・。
岩屋にかくれた天照大神を、岩を開けて でてきてもらう日本の神話もあります。
中国ブーラン族に伝わる神話ですが、ブーラン族はミャンマーの国境ちかくにすみ、文字はないといいます。(プーラン族は2000年で9.2万人)。
グミヤーも、顔の形の太陽と月も、かわいらしい絵です。
「けものたちのないしょ話」(君島久子・編訳/岩波少年文庫/2001年)のなかに「巨人グミヤー」というのがあります。グミヤーには12人の子どもがいて、いくつかの由来話もあります。(太陽と月の光で、魚の舌は焼けちぢじみ、ヘビの足も、カエルのしっぱも、そのときとれてしまった。など)
地面の下をささえたカメが、ちょっと動くと ぐらぐら大地が揺れるので、ニワトリを見張りにつけ、カメが動くとニワトリが、その目をつっつき、大地を固定させます。