どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

巨人グミヤー と 太陽と月

2022年11月09日 | 絵本(昔話・外国)

    巨人グミヤー と 太陽と月/君島久子・文 小野かおる・絵/岩波書店/2000年

 

 天地創造というと神話ですが、神話らしくない話です。

 はるかむかし、天も地もなかったころ。神の巨人グミヤーが、大きなサイのようなけものの皮から天を作り、肉で血を、骨や岩で石を、血で水を、毛で木や草花もつくります。さいごに脳みそで、人間をつくりあげます。
 天は、ふわりと空中にうかびますが、支えるものがありません。そこでグミヤーは、サイの足で、東西南北に柱をたてます。そして、地面の下は、大きなウミガメがささえます。

 大昔の人間は、天をささえる柱があり、地面は何かが支えていると想像していました。

 空では小鳥がさえずり、水のなかでは魚が泳ぎ、人びとはのどかに、くらします。

 これをみてねたましくおもっていた太陽の9人姉妹と月の10人兄弟が、燃えるような光をあびせかけたからたまりません。地上のものがすっかりやきほろぼされそうになりました。

 グミヤーが大きな矢で、太陽と月を射落としますが、ひとつの太陽と、一つの月が残りました。グミヤーも流石に疲れ、逃げていく月に矢を放ちますが、矢は月のからだすれすれにかかすめただけでした。このとき月が冷や汗をかき、ぎらぎら燃えることができなくなりました。

 危ないところを逃げのびた太陽と月は、グミヤーの矢が届かないところに、こっそりと隠れました。世界は真っ暗になり、急に寒くなってしまいます。

 ツバメが太陽と月の隠れ家を探しあて、ホタル、オンドリ、イノシシと隠れ家にいき、あの手この手で、昼と夜に空をてらしてくれるように頼み込みますが、岩はびくともしません。けれどもイノシシがものすごいいきおいで、岩に体当たりすると・・・・。

 岩屋にかくれた天照大神を、岩を開けて でてきてもらう日本の神話もあります。

 中国ブーラン族に伝わる神話ですが、ブーラン族はミャンマーの国境ちかくにすみ、文字はないといいます。(プーラン族は2000年で9.2万人)。

 グミヤーも、顔の形の太陽と月も、かわいらしい絵です。

 

 「けものたちのないしょ話」(君島久子・編訳/岩波少年文庫/2001年)のなかに「巨人グミヤー」というのがあります。グミヤーには12人の子どもがいて、いくつかの由来話もあります。(太陽と月の光で、魚の舌は焼けちぢじみ、ヘビの足も、カエルのしっぱも、そのときとれてしまった。など)

 地面の下をささえたカメが、ちょっと動くと ぐらぐら大地が揺れるので、ニワトリを見張りにつけ、カメが動くとニワトリが、その目をつっつき、大地を固定させます。