おおきくなりすぎた くま/リンド・ワード・文画 渡辺茂男・訳/ほるぷ出版/1985年
日本では1985年の出版ですが、原著は1952年。というともう70年以上前の絵本。そのせいか図書館の開架書架ではなく、閉架書架にあってあまり借りる人がいないようでした。
ページの左の下四分の一ほどに文、右側におさえた黒一色の絵と、いたってオーソドックなつくりで地味な印象の絵本。
仕留めた熊の毛皮を納屋にほして誇示しているような村。ところが自分の家には毛皮がなく、引け目をおぼえていたジョニーは、村で一番の毛皮を作ろうと、銃をもって森の奥深くにはいっていきました。そこで見つけたのは熊は熊でもおなかをすかせているような小熊。
連れ帰った小熊は、小牛たちの牛乳や鶏のエサ、リンゴ畑のリンゴ、ジョニーが おみせからかってくる かえでさとうを食べ、そのうち家の中の棚の食べ物を荒らしはじめました。それだけでなく、マックキャロルさんのトウモロコシ畑を荒らし、ベンネルさんの燻製室のベーコンやハムを 食べ放題 食べました。春になると、かえでの木から蜜をしぼっていたマックリーンのバケツを 全部空にして・・
やっかいもので災難な熊を このままにしておくことはできません。ジョニーは、熊を森にかえそうと、西へ東へ、南へつれていき、そこにおいてきますが、熊はすぐに ジョニーのところへ もどってきました。残されて道は ただ一つ。ジョニーは自分でやると、北の はじめての森へ熊を連れていきます。
ジョニーは、鉄砲に弾を つめることができません。そのとき、熊が何かのにおいを かぎつけ、走り出しました。熊が早く走るので、ジョニーは 鉄砲を落としてしまいます。熊は丸太小屋のようなものに 飛び込むと なにかかが おちてきて、なかに閉じ込められてしまいました。そこには、熊が大好きな かえでさとうの 大きなかたまり。そのおりは、動物園におくる動物を捕まえるおりでした。
おじさんたちは、「熊に会いたくなったら、いつでもおいでよ」とジョニーに 話して、熊を 車にのせて さっていきます。
思いもかけず人間と暮らすことになった熊。どんどん大きくなった熊が、何度捨てられて?もジョニーのもとに帰ってきます。最後はハッピーエンドのように見えますが、それが熊にとって幸せだったかどうか。
熊の出没がたびたびニュースになっているが、この原因を作ったのは、人間ではないかと 思うと複雑。気候変動によるエサ不足、生息域の減少は じつは人間の作り出したもの。
その後のジョニーが、どう 熊とかかわっていったかも気になる。