ぼくには ひみつがあります/羽仁進・作 堀内誠一・絵/主婦の友社/2023年
「ぼくには ひみつがあります」といわれると、それだけで 何?と 思わず引き込まれるタイトル。
アパートの階段のうしろに、とてもへんなかたちの、かわいい ちっちゃな動物を見つけた五歳の男の子。まえに、野原で真っ白な犬を ひろってきて よその人に つれていかれたことがあった男の子は、だれにもだまって 餌を運んでやることに。
リスの仲間かなと思ったが、どんなことをしたら よろこぶかもわからない。絵をかいて、幼稚園の先生に聞いてみると、すぐに、「ムササビだろう」という。ちょっとふとっていて、飛ぶのは無理かと思っていたら、ある日、四ひきの子が増えていた。
ある日、とうとう ムササビがとぶのをみて男の子は、万歳。ところが子どもたちは 飛び方がへたで、壁にぶつかったりします。誰かに見つからないようにしていると、幼稚園のもじゃもじゃ先生がやってきて、ムササビを やまに連れていくことに。
もじゃもじゃ先生が幼稚園の子どもと、ムササビをやまにつれていき、夜、テントでムササビをみつめるシーン。目を輝かす子もいれば、眠そうな子も。
羽仁進作と、ずいぶん懐かしい名前。それもそのはず、初版は1973年と50年前の増補改訂版。しかし、アクリル絵具で描かれたという絵は、50年前とは思えない鮮やかさ。
アパートにムササビと、今では、ちょっと考えられないし、先生がパイプをくわえたり、野外キャンプなど、ひと昔の光景。
ただ、子どもにとっては忘れられない経験を残してあげるのは、親の責任なのかも。