どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

かさボコホイ、みのボコホイ・・栃木

2024年02月01日 | 昔話(関東)

        栃木のむかし話/下野民俗研究会・編/日本標準/1977年

 

 あるところのおおきな寺に、みのやかさの壊れたものがだいぶたまって、和尚さんは小僧さんに寺の床下にすてるよういいつけました。

 日が暮れておつとめを終えた小僧さんが、布団に入ってうとうとしていると、どこかで、「かさボコホイ、みのボコホイ かさボコホイ、みのボコホイ」という声が聞こえてきた。ねむりかけた小僧さんが目をこすりながらおきてみると、だれもいない。つぎの夜も同じように声が聞こえてくる。気味が悪くなった小僧さんは、とうとう和尚さんに いっしょに 寝てくれるようお願いした。「そんなにひとりで寝るのがこわいのなら、ひとつ、わしがいっしょにねてやろうか」と、和尚さんもその夜、小僧さんのそばに寝たんだって。

 その夜、和尚さんの耳にも、「かさボコホイ、みのボコホイ かさボコホイ、みのボコホイ」の声が聞こえてきた。和尚さんは、二、三日前に、かさとみのを、縁の下に捨てたことを思い出し、「かさやみのが、縁の下なんぞに、捨てられたもんだから、おこってんだべ。」と、つぎの日、縁の下だけではなく、近所のうちから、いらなくなったものを、うんと集めてきて、丁寧に拝んでから、火をつけてもしてしまった。

 それからは、へんな声が聞こえなくなったという話じゃ。