ポストが ぽつん/北川チハル・文 小池アミイゴ・絵/アリス館/2023年
野原にぽつんと立つポスト。ある日、嵐で吹き飛ばされ、海に落ちてしまいました。カメに「これは おてがみを だすもじゃ」と教えられた魚たちが、貝殻に声を吹き込みポストにいれました。長い間 つかわれず、ねむりについていたポストは、「ひさびさの お手紙だ」と、ぼす ぼす どんどん 風の吹く方へ 泳ぎだしました。宛先は つむじ風。魚たちが空を 飛んでみたいと手紙を出したのでした。魚たちは、空を飛んで 大喜び。ポストは うっかり飛びすぎて 森に ボスーン。
森は お日さまが寝坊して 真っ暗。ふたごの小鳥が、”つぼみ”に声を吹き込みました。ポストが、ぼぼぼぼぼすーんと とびはねて、「うちゅうだんち 1ごうしつの おひさま」に、手紙を 届けると、お日さまが 夜のカーテンを あけました。ポストは ひかりの カーテンを すべりおり砂漠に ボスーン。
砂漠は、雨が降らず 草も生えなく動物たちは涙。動物たちの 瞳から ひかる しずくが ポストに ぽとん。ポストは、涙のお手紙を、雨雲さんにとどけようとしましたが、重くて ぼすーんと とべません。それでも ポストは ぼす、ぼす ぼと、ぼと、あるきました。雲の町に着くと・・・。
どこかに ぽつんとポストが たっていたら、それは お手紙をだしてみたい 誰かさんを まっています。
宇宙団地とか、ひかりのカーテンをすべりおりる 砂漠が 緑に おおわれるなど 見どころもいっぱいです。
表紙と裏表紙の絵は、切手です。
デジタル万能の時代。しかし、デジタルは無機質で 手紙のように よろこび、かなしみ、つらさなど、感情を とどけられない 気がします。