ニャーとようかいねこ/脚本・絵 武田美穂/童心社/2023年(12場面)
ねこのニャーは、お母さんにしかられたけんたくんから、やつあたりされ、尻尾を乱暴に ひっぱられ、おまけに、「なんだよ、可愛くないな。ニャーなんて、ひろわなきゃ よかったよ!」といわれ、かなしくなって おうちを とびだしました。
いつもけんたくんといっしょにくる公園で、灰色のねこと会い、ようかいねこにならないかと さそわれ、おばけやしきといわれるいえに、つれられていきました。
むかえてくれたのは、だいだいいろのねこ。しっぽが ふたつに わかれています。おうちのなかでは、たくさんの ねこが わかくても ようかいねこなれるからと、輪になって踊って修業中でした。ニャーも たってみましたが、たってはころび、たってはころびで いやになりました。(かえりたいな・・)と 思いましたが どこへ。
そのとき、だいだいいろのねこから、「あなたは、けんたくんを ゆるしてあげられないの?」ときかれ、けんたくんのなまえがでてきて びっくりしました。
ニャーは、うまれて すぐ すてられていましたが、けんたくんが、お母さんやおとうさんに ないたり、せがんだりして かってもらえることに なったのです。
だいだいいろのねこから、「おもしろいものを みせてあげるよ。」といわれ、窓の外を見ると、屋敷の前に あおい、傘をさした けんたくんがいました。けんたくんは、恐ろしいのか、屋敷にははいらず、「ニャー でてこいよ! でてこないと、もう うちに いれないぞ!」とさけびました。だいだいいろのねこは、けんたくんの気持ちがわかるのか、「あのこは あんな いいかたしかできないのよ。でも ほら かおを見て。泣きそうじゃないの」。ニャーも かなしくなって にゃー とさけぶと、.けんたくんのもとへ。
どうやら、だいだいいろのねこは ねこがみさま だったようでした。
ときどき、すれちがいもあるけれど、ほんとは 仲の良い ニャーとけんたくんです。けんたくんも 八つ当たりを 反省していたのかな?