どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

トゥクパをたべよう

2024年07月17日 | 絵本(外国)

 トゥクパをたべよう/インドの ごちそう スープ/ブラハ・ラム&シーラ・ブルイット・文 シルバ・ラナデ・絵 あまがい ひろみ・訳/イマジネーション・プラス/2020年

 

 副題に「インドの ごちそう スープ」とあったので、インドの食べ物の紹介かと思ったら、それだけではありませんでした。

 「トゥクパ」は ヒマラヤの北にあるインドのラダックやチベットの ひとびとがたべている麺の入ったスープで、特別な日しか食べないごちそう。

 お寺の鐘が鳴っておうちにかえるツェリンは、ばあちゃんがつくるトゥクパが楽しみで、鼻歌交じりで家路を急ぎます。なかよしのリグジンが ちかづいてきたので、トゥクパを たべようと さそいます。迷子になった子羊をたすけると、タシおじさんから声をかけられ、おじさんもトゥクパに さそいます。ニーマおばさん、ヌルブーさんも くることになりました。

 ばあちゃんは、みんながくると知って大慌て。水も麺も野菜も足りません。ツェリンは豆を駕篭にいれ、おうちにかえると 豆のさやを やさしくわります。みんなは、水とチーズ、ほうれんそう、あんずのジャム、こねた麺をもってきました。

 ばあちゃんが、料理していると停電になって、トゥクパがつくれないと 困っていると・・。

 ツェリンは目が不自由でした。スパイスを においで 野菜や水を ばあちゃんに わたしします。すると家じゅうにトゥクパのいい においがして あとひといきで できあがりです。みんなも手伝いはじめると、ちょうど電気がついて・・・。

 

 目の不自由なツェリンには、お寺の鐘の音、羊のなきごえ、畑のシャベルの音が助けになります。そして、豆は指先でたしかめながら収穫しますから、停電になっても、あわてることなく ばあちゃんの お手伝いが できました。ツェリンが目が不自由なことは、一言もでてきません。音や匂いを自然に感じさせる すてきな話でした。

 

 特色のある帽子をかぶり、民族衣装を着た村人の素朴な感じが よくでていました。