どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ちいさなたいこ

2022年05月16日 | 創作(日本)

    ちいさなたいこ/松岡享子・作 秋野不矩・絵/福音館書店/2011年(初出1974年)

 

 初出が1974年で、子どもころ読まれた方もおおいようです。昔話風ですが、松岡さんの創作のようです。

 心の優しい百姓のおじいさんとおばあさんがでてくるのですが、気持ちがほっとする優しい物語です。

 おじいさんとおばあさんが育てていたかぼちゃの中に、ひときわおおきなかぼちゃがありました。
 ある日、二人が寝ようとしていると、「ぴいひゃら どんどん」「ぴいしゃらら」と、楽しそうな祭りばやしが聞こえてきました。その祭りばやしが毎晩つづき、不思議に思ったふたりが、ある晩、床を抜け出し外へ出てみました。音はどうやら、みごとなかぼちゃの中から聞こえてきます。
 あくる日、そのかぼちゃを もいで 枕元においてみると、やはり、お囃子がきこえてきました。顔をそっとちかずけて見ると、そこには、太鼓を打つ男や笛を吹く男がいて、三十人余りが輪になって踊っていました。

 それからというもの、ふたりは、このお囃子を聞き、踊りを見るのが何よりの楽しみになりました。ところがある晩、いつもの時刻になっても、お囃子が聞こえません。中をのぞいてみると、太鼓打ちの男が腕組みをし、その傍らには破れた太鼓がありました。

 聞きなれた音を聞かないと、なかなか寝つかれなくなったふたりは、新しい太鼓をつくることにしました。細い竹、どんぐり、しぶを塗った薄い紙で、一日中かかって、やっと、ちいさい太鼓を作ると、おはしで、かぼちゃの穴からそっと、なかへ いれました。すると、太鼓打ちが 試し打ちし 調子がわかると、いつものお囃子の太鼓が はじまりました。

 つぎの晩、穴のふちに、なにか米粒のようなお団子がおいてありました。ふたりが そのちいさなお団子を じょうずにつまんで、口に入れると・・・。

 

 おじいさん、おばあさんが、小さな太鼓をつくる手の動きの絵が 素敵です。


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